善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「浮草」ほか

フランス・ボルドーの赤ワイン「クラレンドル・ルージュ(CLARENDELLE ROUGE)2016」

(写真はこのあと牛のサーロインステーキ)

ボルドー5大シャトーの一角、シャトー・オー・ブリオンとその向かいにあるシャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオンを所有するクラレンス・ディロン・ワインズが手がけるワイン。

クラレンス・ディロン・ワインズの会長でCEO(最高経営責任者)は、ルクセンブルクの皇太子。母親がディロン家の出身であるためという。

メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨンカベルネ・フランブレンド

シンプルに焼き上げたステーキにぴったりの味わい。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していた日本映画「浮草」。

1959年の作品。

監督・小津安二郎、撮影・宮川一夫、出演・二代目中村雁治郎、京マチ子若尾文子川口浩杉村春子野添ひとみ笠智衆ほか。

 

1934年の小津監督による「浮草物語」を監督自身がリメイクした作品。小さな港町にやってきた旅回り一座の人間模様を描く。

 

嵐駒十郎(中村鴈治郎)率いる旅芝居の一座が小さな港町にやってきた。

駒十郎はこの町で一膳飯屋を営むお芳(杉村春子)との間に息子をもうけていて、息子の清(川口浩)は2年前に高校を卒業し、郵便局でアルバイトをしながら上の学校をめざして勉強している。しかし、駒十郎は清に自分が父親だとは知らせていない。息子には自分と同じ浮草のような旅芸人にはなってほしくないと思っていて、地道に暮して出世してほしいと願っているからだ。

一方の清は、母から父は死んだと聞かされていて、たまにやってくる駒十郎を「おじさん」と呼んでなついている。

ところが、一座の看板女優であり、駒十郎の連れ合いともなっているすみ子(京マチ子)は、一座が滞在中、駒十郎が毎日のように清に会いに行くのを不審に思い、古くからいる座員を問い詰めて駒十郎とお芳の関係を聞き出す。

嫉妬に燃えたすみ子は、お芳の店に乗り込んで駒十郎と激しくいい争うが、駒十郎は聞く耳を持たない。そこで一計を案じて、若い女優の加代(若尾文子)に金を渡して、清を誘惑させるのだが・・・。

 

主役の中村雁治郎は2年前に亡くなった四代目坂田藤十郎中村玉緒の父親。当代の中村鴈治郎(四代目)は孫にあたる。

 

小津作品というと、「東京物語」にしろ「晩春」「麦秋」「秋刀魚の味」にしても、都会的で紳士ふうな人たちのホームドラマ的な描き方が多い気がするが、「浮草」は趣が違う。

見どころは、一座の座長である中村雁治郎と、その連れ合いで嫉妬に燃える京マチ子との“痴話げんか”だが、それが何とも凄まじい。

土砂降りの雨の中、道を隔てた2人の口げんかでは、お互いすごい形相で「アホ」「バカ」と怒鳴り合っている。

客がまるでやってこなくて、ついに一座は解散してしまうが、別れ別れとなって、サアこの先どうしたらいいのか、暗い駅の待合室で途方に暮れる中村雁治郎と京マチ子。あれだけ罵倒し合っていたのに、人は孤独ではいられないのか、結局は仲直りする。

それを見て、「浮草」とは、当てもなく果てしもない旅芸人一座のことをいってるだけではなく、ケンカもするけど、何だかんだいいながら結局はともに人生をすごす男と女のことでもあるのかなと、フトそうも思ったのだった。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたアメリカ映画「ドクター・ドリトル」。

2020年の作品。

原題「DOLITTLE」

監督・脚本スティーヴン・ギャガン、出演ロバート・ダウニー・Jr、ハリー・コレットアントニオ・バンデラスマイケル・シーンジム・ブロードベントほか。

 

原作はヒュー・ロフティングの児童文学作品「ドリトル先生」シリーズ。

19世紀のヴィクトリア女王の時代。名医ではあるが変わり者で、動物と話せるドリトル先生ロバート・ダウニー・Jr)は、世間から遠ざかり、庭園で動物たちとひっそり暮らしていた。

しかし、若きヴィクトリア女王が重い病に倒れたことを耳にしたドリトル先生。女王の病は毒を盛られたためと見抜き、唯一の解毒剤を求めて助手のスタビンス少年(ハリー・コレット)と動物たちを従え、伝説の島へと冒険の旅に出る・・・。

 

登場する動物はすべてCGで描かれているんだが、これが実にリアル。

とくにゴリラとシロクマは本物がしゃべってるみたいだし、ほかの動物もとてもよくできているが、如何せん肝心の物語が、いろんな冒険物語を寄せ集めた二番煎じで終わっているのが残念。