善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「真実の行方」ほか

アルゼンチンの赤ワイン「カイケン・エステート・カベルネ・ソーヴィニヨン(KAIKEN ESTATE CABERNET SAUVIGNON)2019」

(写真はこのあと牛肉焼き)

チリのモンテス社がアルゼンチンで手がけるワイン。

カイケンとは、アンデス山脈の渡り鳥ガンの現地名。チリのモンテス社がアンデス山脈を越えた隣国アルゼンチンでの新しい挑戦を意味しているらしい。

カベルネ・ソーヴィニヨン100%。

まろやかでバランスがとれていて、飲みやすいワイン。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたアメリカ映画「真実の行方」。

1996年の作品。

原題「PRIMAL FEAR

監督グレゴリー・ホブリット、出演リチャード・ギアエドワード・ノートンローラ・リニーフランシス・マクドーマンドほか。

 

ウィリアム・ディールの同名小説を映画化。

シカゴで、大司教が全身をナイフで刺されて殺される事件が発生。直後に逮捕されたのは、現場から血まみれで逃亡したという19歳の青年アーロン(エドワード・ノートン)だった。彼は路頭に迷っていたところを大司教に救われ、以来息子同然に仕える侍者だった。

一方、野心家で世間の注目を集める裁判で名を上げたい弁護士のマーティン(リチャード・ギア)は、アーロンの弁護を無償で買って出る。

あどけないアーロンの表情を陪審員に見せて無罪を勝ち取ろうとするマーティン。さらに裁判では、宅地開発に絡む大司教と州検事ら街の有力者との腐った関係、少年・少女にセックスを強要しそれをビデオに収める大司教の堕落した姿も明らかになる。

しかし、アーロンの精神分析を担当した医師アーリントン(フランシス・マクドーマンド)は、アーロンの不可解な行動に気づき、実は彼は多重人格者であり、大司教殺害はアーロンの中に潜む“もう一人の人間”の犯行によるものだとわかる。

法廷では、検察官と弁護人による虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。“もう一人の人間”が起こした犯罪は果たしてどう裁かれるのか・・・。

 

小説ではアーロンの異常は裁判の前にわかっていて、裁判の開始時に弁護士のマーティンは当初の無罪答弁を変更して「有罪だが心神喪失」と主張を変えているが、映画では、裁判の途中でアーロンの精神疾患がわかり、ドラマは一気に盛り上がっていく。

映画の最後に大どんでん返しがあるが、ここのところは小説と同じ。

おそらく本作の製作者は、小説の最後の1行を読んで映画化を決めたんじゃないか、そんなふうに思えるような小説の終わり方だった。

何しろ文庫本で700ページ近くある分厚い小説を2時間ちょっとの130分に収めるのだから、脚色の苦労は相当のものだったに違いない。

それで思い出したエピソードがある。

松本清張の小説を映画化した「砂の器」(1974年、野村芳太郎監督)の脚本は橋本忍山田洋次(「男はつらいよ」の監督)だったが、当時すでに大ベテランの脚本家だった橋本に対して、まだ若かった山田は当初、「こんな長くて複雑な話を映画にするのはとても難しい。無理じゃないですか」といったという。

それに対して橋本から「確かに複雑だけど、1つだけやりようがある。主人公の親子は何年間か旅をしたが、それは親子にしかわからない。そのわからない2人の旅をちゃんと描くんだよ。それがポイントにならないか」といわれて、「ああ、そういう風に原作を読むんだなぁ」と思ったという。(BS朝日「映画監督・山田洋次本広克行が『砂の器』シネマ・コンサートを語る!」より)

脚本家は、映像表現としての映画でどう描くかを考えながら原作を読むのだろう。

 

主役のリチャード・ギアより当時27歳の新鋭エドワード・ノートンの怪演が話題になった映画。もともと当時22歳だっだレオナルド・ディカプリオに決まりかけた役を、彼が射止めて本作で映画デビューしたという。

ただしディカプリオも、本作の翌年の「タイタニック」で一躍スターに駆け上がっているから、どっちがよかったか・・・。

精神科医役のフランシス・マクドーマンドは当時39歳だが、今と変わらない感じの味のある演技。翌年の「ファーゴ」ではアカデミー主演女優賞を受賞している。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたフィンランドスウェーデン合作映画「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」。

1989年の作品。

原題も「LENINGRAD COWBOYS GO AMERICA」。

監督アキ・カウリスマキ、出演ザ・レニングラードカウボーイズ、マッティ・ペロンパー、サカリ・クオスマネンほか。

 

とぼけたユーモア全開の音楽ロードムービー

長く突き出たリーゼントの髪型に、黒いサングラス、黒の上下のスーツ、そして黒いとんがりブーツという独特の格好をトレードマークにした売れないバンド、レニングラードカウボーイズ。極寒のツンドラの地で活動する彼らが演奏するのは「ポーリシュカ・ポーレ」といったロシア民謡

このままじゃ芽が出ないと、マネジャーのウラジミール(マッティ・ペロンパー)の提案でアメリカで一旗揚げようとニューヨークに向かった一行。

ひどい演奏にあきれた現地のエージェントから「俺のいとこがメキシコで結婚するからそこで演奏しろ」といわれ、全財産をはたいて中古車を買ってメキシコ目指して出発。かくして文無しの旅芸人となった彼らは、生活費を稼ぐためにバーやクラブに寄っては演奏するが、相変わらず人気はない。

途中のメンフィスではロックンロールバンドに大変身したり、次第にアメリカ各地の音楽を取り込んでいった彼らは・・・。

 

レニングラードカウボーイズは実在するバンドだそうで、ただし、ホントは「スリーピー・スリーパーズ(Sleepy Sleepers)」というフィンランドのバンドで、レニングラードカウボーイズは架空のバンド名だった。

ところが、映画が話題になったのを機にレニングラードカウボーイズに名前を変えて活躍中。日本にもテレビ出演などで数度訪れており、タカラの缶チューハイの CM を日本語で歌ったこともあるとか。

 

民放のBSで放送していた香港映画「プリズン・オン・ファイヤー」。

1987年 の作品。

原題「監獄風雲 PRISON ON FIRE」

監督リンゴ・ラム、出演チョウ・ユンファ、レオン・カーフェイほか。

 

受刑者たちの友情物語みたいな監獄アクション映画。

広告デザイナーのイウ(レオン・カーフェイ)は、父親の店に押し入った強盗を追いかけるうち、突き飛ばした犯人の1人が車にはねられて死んでしまった事故による過失致死罪で3年間の懲役刑を宣告される。刑務所に収監されたイウは、そこでチェン(チョウ・ユンファ)という男と出会う。

真面目な性格が災いして囚人のボスから嫌がらせを受けるイウにとって、刑務所の“ルール”を教えてくれ、ケンカのときには助けてくれる楽天家で頼りがいのあるチェンはよき兄貴分だった。

イウはそんなチェンと絆を深めてゆくが、地獄のような日々を生き抜く中、「制裁」の名の下、理不尽な暴力を受ける囚人たちは力を合わせて看守長をはじめ悪徳看守や囚人のボスたちに立ち向かうこととなるが・・・。

 

「忍耐は争いを収め、謙譲は度量を示す」をモットーとするチョウ・ユンファ扮するチェン。イジメに耐えて耐えて耐えまくるうち、最後の最後にブチ切れて怒り爆発、大暴れしてすっきり。