アルゼンチンの赤ワイン「ロ・タンゴ・マルベック(LO TENGO MALBEC)2021」
ワイナリーは創業120年のアルゼンチンを代表するボデガ・ノートン。
「タンゴ」を踊るラベルが特徴。マルベック100%で、やわらかな口当たり。
ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたフランス映画「大人は判ってくれない」。
1959年の作品。
原題「LES QUATRE CENTS COUPS」
監督フランソワ・トリュフォー、出演ジャン=ピエール・レオ、アルベール・レミー、クレール・モーリエ、パトリック・オーフェーほか。
のちにヌーヴェルヴァーグの旗手となるトリュフォー監督が27歳のときにつくった長編デビュー作でカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞。不良と決めつけられた12歳の多感な少年アントワーヌの彷徨を見つめる映画。自伝的要素の強い作品という。
トリュフォー生誕90周年というのでこのところ彼の作品が続けて放送されている。
ちなみに今年は没後38年でもある。
パリの下町で、親子3人、狭いアパートで暮らす少年アントワーヌは、学校では教師から叱られてばかりで、家庭では両親の口論が絶えず、息苦しい毎日を送っていた。そんなある日、親友ルネと学校をサボった彼は、街中で母親が見知らぬ男性と抱き合っている姿を目撃してしまう。
やがて、帰宅しなかったり、泥棒をしたりと、素行がますます悪くなっていったアントワーヌは、遊ぶ金に困ってルネとともに父親の会社のタイプライターを盗んで質に入れようとするも失敗し、両親は彼を少年鑑別所に入れてしまう・・・。
護送車に乗せられ、鑑別所に向かう車の窓から見る街の風景。
鑑別所から逃げ出し、走り続けてたどりついた海辺にひとり立つアントワーヌ。
どれも鮮烈な印象を残す。
暗い物語だけど、暗い現実に立ち向かう少年の姿が凛々しい。
邦題の「大人は判ってくれない」は、その後のトリュフォー作品の「突然炎のごとく」同様、なかなかシャレた題名だが、原題の「LES QUATRE CENTS COUPS」もその由来を聞くとナルホドと思う。
直訳すれば「400叩き」とか「400発」という意味だそうだが、この題名は「FAIRE LES QUATRE CENTS COUPS」というフランス語の慣用句が下敷きになっていて、何を意味するかというと「若いころに無分別な行動をする」ということだそうで、まさしく主人公のアントワーヌを言い当てている。
この言葉の由来をたどると、今から400年も前の1621年のこと。ときのフランス国王はまだ20歳そこそこのルイ13世で、国内のプロテスタント弾圧のため南仏のモントバーンに向かう。
血気にはやった若き国王は、住民を降参させるため400門の大砲を一斉に発射。しかし、まるで効果がなかったという。このため「400発」はバカげた行為の代名詞となり、映画の題名にもなっているというわけだ。
話はちょっと横道にそれるが、日本語にも似たような例があり、愚かなさまや行為を罵る言葉に「あほう」とか「アホ」というのがある。主に関西でよく使われる言葉らしいが(「バカ」よりいいやすいのか、最近は東京人もよく使う)、その語源は諸説あるものの有力なのに秦の始皇帝がつくった「安房宮」がある、と「日本国語大辞典」が紹介している。
始皇帝はここに宮女3000人を置き、日夜遊楽にふけったという。また、あきれるほどバカでかく、火事で焼けてしまったが全焼するまでに3カ月かかったとか、あまりにも贅沢な宮殿を建てたものだから財政困難になり国が滅びたとの説があり、そのバカらしさが日本に伝わって「安房(あほう)」という言葉が生まれたのかもしれない(なかなか贅沢な罵り言葉ではあるが)。
ついでにその前に観たNHKBSで放送していたアメリカ映画「マイ・インターン」。
2015年の作品。
原題「THE INTERN」
製作・監督・脚本ナンシー・メイヤーズ、出演アン・ハサウェイ、ロバート・デ・ニーロ、レネ・ルッソ、アンダーズ・ホームほか。
ニューヨークでファッション通販サイトを起業し、大成功したジュールズ(アン・ハサウェイ)は、仕事・家庭と多忙な日々を送っていた。ある日、シニア・インターンとして70歳のベン(ロバート・デ・ニーロ)がジュールズの部下となる。当初はベンにイライラさせられたジュールズだったが、人生経験豊富で的確な助言にたびたび救われ、ベンと心を通わせていく。そんな時、ジュールズに予期せぬ試練が・・・。
主役がロバート・デ・ニーロだけに、いつギャングかマフィアに変身するかとドキドキしながら見ていたが、最初から最後まで好々爺だった。
1982年の作品。
原題「THE THING」
監督ジョン・カーペンター、出演カート・ラッセル、A・ウィルフォード・ブリムリー、リチャード・ダイサートほか。
南極基地で推定10万年前に地球に墜落し氷の下で眠っていた宇宙生物を発見した隊員たち。生命体は接触した生物に同化し、次々と形態を変えながら隊員たちに襲いかかる・・・。
1951年の映画「遊星よりの物体X」のリメイク。
51年版の原題は「THE THING FROM ANOTHER WORLD」。本作の原題は「THE THING」。
邦題のほうも「遊星よりの物体X」の「より」を「から」に変えてお茶を濁している。