善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「髪結いの亭主」

フランスの白ワイン「テロワール・セレクション・シャルドネ(Terroir Selection Chardonnay)2019」f:id:macchi105:20210924171929j:plain

ボージョレーの名門ドメーヌである「ピエール・フェロー」がオーヴェルニュで手掛ける別ラベルのワイン。

つまみは、秋冬限定で入荷解禁というので予約しておいたウォッシュタイプのチーズ「モンドールAOC(ジュラワイン仕上げ)」、それにアナゴ白焼きなどなど。

メインの料理はタイラダイのポワレf:id:macchi105:20210924171958j:plain

 

ワインの友で観たのは民放のBSで放送していたフランス映画「髪結いの亭主

1990年の作品。

原題は「LE MARI DE LA COIFFEUSE」。

監督パトリス・ルコント、出演ジャン・ロシュフォール、アンナ・ガリエナほか。

 

日本で「髪結いの亭主」というと、女房を働かせて昼間から酒を飲んで遊んで暮してる亭主のイメージがあり、それを題材にした「厩火事」という落語もある。原題の「LE MARI DE LA COIFFEUSE」も直訳すれば「理容師(美容師)の夫」という意味だそうだから、フランスでも同じような感じで使われているのだろうか。

しかし、本作で描かれているのは少年時代のノスタルジックな思いを大人になっても持ち続けた男と、髪結いの女の官能的なラブストーリーだ。

 

12歳の少年、アントワーヌ(ジャン・ロシュフォール)は、行きつけの床屋のものすごいグラマラスな女性理容師の魅力の虜になる。散髪するとき、彼女のふくよかな胸が自分の体に触れ、吐息がほおにかかるのがたまらなくて、心踊るのだった。そして、大人になったら髪結いの亭主になると夢を描くようになる。

大人になって、というより中年になって、アントワーヌは一軒の床屋で理想の女性を見つける。それは若くて美しい床屋の店主マチルド(アンナ・ガリエナ)だった。ひとめぼれしたアントワーヌはその場でプロポーズするが、マチルドは相手にしない。しかし、次に散髪に行ったとき、マチルドは「ええ、あなたの妻になります」といって、2人は夫婦になる。

それからのアントワーヌは、働きに出るでもなく、床屋の待合コーナーでマチルドの仕事をながめるか、クロスワードパズルをやって日がな一日をすごす。髪を切るのは嫌だとダダをこねる子どものお客が来ると、アラブ調の不思議な踊りで子どもがあぜんとしてる間に散髪を完了させる。そうしているうちに10年がすぎ、2人の愛はさらに深まっていくのだが・・・。

 

この映画を見て、「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督は、絶対にこの映画を見ていたに違いないと思った。だけでなく、この映画のオマージュ、そこまでいかないにしても、この映画をヒントに作品をつくったに違いない。

髪結いの亭主」が日本で公開されたのは1991年12月。その翌年の12月にシリーズ45作目の「男はつらいよ 寅次郎の青春」が公開されているが、この作品こそ、オマージュ作品に違いない。

この映画では宮崎県日南市の港町で、寅さん(渥美清)は床屋を営む蝶子(風吹ジュン)と出会う。彼女は結婚願望の持ち主で、店のドアに鈴を付けて、その鈴をチリンと鳴らして運命の男性が訪れるのをひたすら待っている。その鈴を鳴らして入ってきた寅さんと2人は・・・という話だが(もちろん、それに寅さんの甥である満男(吉岡秀隆)と泉(後藤久美子)の恋物語が絡まる)、蝶子はまさしくマチルドのアンナ・ガリエナと、その笑顔や眉毛の感じといい、そっくりなのだ。ひょっとしてキャスティングもアンナ・ガリエナを意識したのか?

ゆったりと時間が流れる床屋のシーン。蝶子が寅さんを座らせて散髪し、頭を洗ってヒゲを剃るシーンは、寅さんシリーズにしては珍しく、どことなく官能的に感じられた。これも「髪結いの亭主」のオマージュゆえか?

寅さんシリーズの全作を少なくとも1本につき3回以上は見ている寅さんファンである本ブログ子にとって、「寅次郎の青春」は好きな作品の1つ。2本を見比べて見ると楽しみが倍増するかもしれない。

 

ついでにその前に観た映画を題名だけ。

民放テレビで放送していた2004年のアメリカ映画「セルラー」。

民放のBSで放送していた1998年のアメリカ映画「翼のない天使」。