善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「カムバック・トゥ・ハリウッド‼」ほか

イタリア・トスカーナの赤ワイン「サンタ・クリスティーナ・キャンティ・スペリオーレ(SANTA CRISTINA CHIANTI SUPERIORE)2019」

(写真はこのあと牛のサーロインステーキ)

トスカーナ州フィレンツェのワインメーカー、アンティノリが手がけるワイン。

サンジョベーゼとメルロをブレンド

1946年の発売以来長く愛され、イタリア国内で「その名を知らぬものはいない」といわれるほどのロングセラーを記録しているという。

まろやかで柔らかく風味たっぷりな口当たりが魅力のワイン。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたアメリカ映画「カムバック・トゥ・ハリウッド‼」。

2020年の作品で、コロナ禍により公開は2022年。

原題「THE COMEBACK TRAIL」

監督・脚本ジョージ・ギャロ、出演ロバート・デ・ニーロトミー・リー・ジョーンズモーガン・フリーマン、ケイト・カッツマンほか。

ロバート・デ・ニーロトミー・リー・ジョーンズモーガン・フリーマンとオスカー受賞の名優たちが顔をそろえた、映画愛と大爆笑を楽しむドタバタコメディ。

舞台は1970年代のハリウッド。B級映画プロデューサーだが“オスカー”を夢見るマックス(ロバート・デ・ニーロ)は、ギャングで映画マニアでもあるレジーモーガン・フリーマン)からの借金返済に頭を悩ませていた。そんなマックスが苦し紛れに思いついたのが、危険なスタント撮影での死亡事故で保険金を手にするというとんでもないトリックだった。

マックスは往年の西部劇スターで自殺願望を持つデューク(トミー・リー・ジョーンズ)を老人ホームから担ぎ出し、新人の女性監督メーガン(ケイト・カッツマン)のもと、西部劇の撮影をスタートさせる。撮影の本当の目的は映画を完成させずに、撮影中にデュークに死んでもらうこと。しかし、マックスの目論見ははずれ、デュークが思いのほかしぶとかったために撮影は順調に進んでしまう・・・。

 

作品もおもしろいが、本作が完成するまでの経緯がドラマチック。

本作は1982年のハリー・ハーウィッツ監督「THE COMEBACK TRAIL」のリメイクだが、この作品は1974年に撮影が行われたものの、1982年に一部で限定公開されただけのいわば自主映画だったという。

本作の監督ジョージ・ギャロが18歳だったころの1974年春、彼は学校の授業をサボってニューヨークでのコミックブックのコンベンションに参加した。一緒に行った友人たちほどスーパーヒーローの世界にのめり込んでいなかった彼は、会場となったホテル内をブラブラ。そのうち部屋の1つから16ミリ映写機のカタカタという音が聞こえてきて数人の人々が未完成の映画のラフカットを見ていたので一緒に見る。それがハリー・ハーウィッツ監督の「THE COMEBACK TRAIL」だった。

映画の出来そのものについては思うところがあったが、多額の保険金をかけた俳優が危険なスタントで死亡することを望んでいるという設定は素晴らしいアイデアだと思った。結局この映画は公開されずに終わったが、将来、映画監督になったら、この映画をリメイクしたいと思うようになる。

やがて彼は成長して映画界に入り、ロバート・デ・ニーロ主演のコメディ「ミッドナイト・ラン」(1988年)の脚本で注目を集め、「奇跡が降る街」(1991年)で監督デビュー。監督として自信を持つようになった彼は、「THE COMEBACK TRAIL」をリメイクしたいという思いを募らせ、八方手を尽くして権利を持つ人を探したが、見つからなかった。

月日が流れ、彼が脚本を書いた「ミッドナイト・ラン」の上映会で話をしてほしいと依頼されて出かけて行ったところ、一人の女性と出会う。その人の名はジョイ・ハーウィッツ。何と、「THE COMEBACK TRAIL」を監督したハリー・ハーウィッツの未亡人だった。彼女こそ版権の所有者であり、2人はたちどころに親しくなり、その夜にこの映画についてパートナーとなることで同意したという。

そんなとき、2019年の「アイリッシュマン」に出演したばかりのロバート・デ・ニーロから相談を受ける。次回作は気分をリフレッシュさせるため軽妙な役をやりたいので、「何か愉快な企画はないか?」。ギャロ監督が「それなら」と提案したのが本作だった。

脚本を読んだデ・ニーロはたちまち惚れ込み、その後すぐにトミー・リー・ジョーンズモーガン・フリーマンらの出演も決まり、リメイクが実現した。

ハリー・ハーウィッツの未亡人ジョイ・ハーウィッツはプロデューサーの一人として名を連ねている。

 

本作についてジョージ・ギャロ監督は次のように語っている。

「私はこの映画が単純に人々を笑わせることを願う。現在の私たちは暗く不確かな時代にいる。笑いというのはいいものだ」

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していた韓国映画「サムジンカンパニー 1995」。

2020年の作品。

監督イ・ジョンピル、出演コ・アソン、イ・ソム、パク・ヘスほか。

 

1995年、ソウル。大企業サムジン電子に勤める高卒の女性社員たちは、すぐれた実務能力を持っていても、任されるのはお茶くみや書類整理など大卒社員のサポートばかり。

しかし、そんな彼女たちにもチャンスが訪れる。社の新たな方針で、TOEIC600点を超えたら「代理」という肩書を与えられることになったのだ。

ステップアップのため英語の勉強に励む女性社員たち。ジャヨン(コ・アソン)もそんな女性社員のひとりだが、あるとき、彼女は会社の工場から汚染水が川に流出しているのを目撃する。その証拠を会社は隠ぺいしようとしていたが、ジャヨンと同僚たちは解雇の危険も顧みず、真相解明に向けて奔走する・・・。

 

国際化のため激変する90年代の韓国を舞台に、大企業に勤める3人の高卒女性社員たちが会社の不正に立ち向かっていく姿を痛快に描いたコメディドラマ。

実話にもとにした作品、と冒頭のクレジットにあり、舞台が「サムジン電子」というので、てっきり世界的な半導体メーカーであり家電も扱っているあの「サムスン電子」の不正がテーマとか思ったら、まるで違っていて、「斗山電子」という韓国の企業が1991年に有害物質であるフェノールを垂れ流して問題になった事件をモデルにした映画だった。監督としては「サムスン電子」と錯覚して見てもらうことを期待したんだろうが・・・。

ジャヨン役の女優がどこかで見たことあるなーと思っていたら、ポン・ジュノ監督の「グエムル-漢江の怪物」(2006年)に中学生の娘役で出ていたコ・アソンが、成長した姿で出ていた。

 

民放のBSで放送していたフランス映画「Summer of 85」

2020年の作品。

監督・脚本フランソワ・オゾン、出演フェリックス・ルフェーブル、バンジャマン・ボワザンほか。

 

16歳のアレックス(フェリックス・ルフェーヴル)は、セーリングを楽しもうとヨットに乗り単独で沖に出るものの、嵐に遭遇して転覆してしまう。18歳のダヴィド(バンジャマン・ヴォワザン)が彼を助けたことから2人は距離を縮めていき、それはやがて恋愛感情へと発展していく。

アレックスにとって、それは初めての恋となった。そんな2人は、ダヴィドの提案で「どちらかが先に死んだら、残された方はその墓の上で踊る」という誓いを立てるが、ダヴィドの不慮の事故により、2人の時間は突然、終わりを迎える。

生きる希望を失ったアレックスを突き動かしたのは、ダヴィドとあの夜に交わした誓いだった・・・。

 

オゾン監督が若かりし日に読み影響を受けたというエイダン・チェンバーズの小説「おれの墓で踊れ」を映画化し、16歳と18歳の少年のひと夏の初恋を描く。

2人の少年を演じるのは、いずれもオゾン監督がオーディションで見出した若手俳優。主人公のアレックス役を務めるフェリックス・ルフェーヴルはあどけなさの残る顔立ちで、初めての恋の喜びと痛みに翻弄される16歳の少年を感情豊かに熱演。アレックスと恋に落ちるダヴィド役のバンジャマン・ヴォワザンは、アレックスに愛を注ぎながらも自由奔放でどこか生き急いでいるような、危うい18歳を演じていた。