コロナ禍ゆえ、日帰りにしたいが飛行機は昼前後の1日1往復しかない。
ならばと1泊することにする。
1日目の昼は鶴岡サイエンスパークにあるホテル「スイデンテラス」のレストランにて。
庄内豚のグリル・ネギ塩マスタードソース。
ドリンクはしゅわっと桃ベリー。
レストランのテーブルから見えるのは月山。雲に隠れてるが。
あすは月山のふもとまで行こうかな。
泊まったのは鶴岡駅からバスで20分ほどのところにある湯田川温泉の「久兵衛(くへい)旅館」。
鶴岡の奥座敷と呼ばれる湯の里だそうで、温泉街はそれほどにぎやかではないが、開湯1300年、山形県内で文献に残るものとしては2番目に古い温泉という。
久兵衛旅館は山形県出身の作家、藤沢周平が定宿にしていた旅館だそうで、館内に藤沢周平コーナーがあり、ゆかりの品々が展示されていた。
藤沢周平原作の映画のポスターなんかも。
部屋の床の間には小倉遊亀の絵が飾ってあった。
この旅館、全13室で落ち着いていて、サービスも丁寧で、掛け流しのお風呂も癒されるけど、料理がおいしい。
生ビールのあと、飲んだ酒は山形・酒田の「フモトヰ」と同じく酒田の「清泉川」。
料理はまず、トウモロコシの和風ムース。
前菜はズワイガニの胡麻酢、チーズ豆腐、酒田沖船凍イカの塩辛、黒バイ貝うま煮。
お造り(ハタ、のどぐろ炙り、本鮪)
甘鯛の南蛮だれ。
地野菜 なすそうめん。
何と、ナスと葛のそうめん。うまいこと。
大豆と庄内豚の八丁味噌角煮。
紅海老とサザエの茶碗蒸し(柚子胡椒風味のアオサあん)
ご飯は焼き鯛茶漬け。
デザートは自家製あんみつ。
翌朝は温泉に入って目を覚ましたあと、宿の周辺を散策。
湯田川温泉はこじんまりとした温泉街で、メインストリートは1本のみ。そこに8軒の宿が並んでいる。
メインストリートの真ん中を折れて脇道に入っていくと、すぐにうっそうとした森があらわれる。由豆佐売(ゆずさめ)神社といって、湯田川温泉の守り神として出湯と水の神さまとして祀られる神社があった。
うっそうとした雰囲気を山田洋次監督は気に入ったのか、映画「たそがれ清兵衛」のロケ地にもなっている。
温泉街には「幕末志士・新徴組本部跡」という旅館もあった。
江戸幕府が組織した浪士組の1つで、新撰組が京で暗躍したのに対して、江戸で尊皇攘夷派らを取り締まったのが新徴組。指揮命令権は庄内藩が持っていて、1868年(慶応4年)、庄内藩の江戸引き上げに伴って隊士136名、その家族311名が鶴岡までやってきて、湯田川温泉の宿と民家37軒に分宿し、2年ほど逗留したという。当地で亡くなった者の墓も近くにある。
それにしても、薩摩・長州と対決した新徴組本部が、「旅館・隼人」に泊まるのも何かの因縁か。
共同浴場の「正面湯」(入浴料金200円)。由豆佐売神社の正面にあるというのでその名がついたという。
宿の朝食がまた豪華。
小松菜の野菜ジュースに始まり、フレッシュサラダ、郷土料理の塩納豆、長芋煮、孟宗とウドのけんちん、酒田のイカ刺し、あつあつ豆腐(毎朝豆乳からつくる出来立て豆腐で、庄内産花塩で食す)、卵焼き、焼き魚、漬物、味噌汁、ご飯は特別栽培のつや姫。
デザートは、自家製のババロアと塩キャラメルアイス。
何て贅沢。
ひと休みしたあとチェックアウト。
宿のすぐ近くにあるバス停から午前9時20分すぎのバスに乗り、途中乗り換えて月山ビジターセンターへ。
周辺は原生林だが、遊歩道が整備されていて、森の中を歩く。
遊歩道といっても、おそらくここ何週間も、ひょっとして何カ月も人が通った形跡がないみたいで、ときおりクモの巣を払いながら進んでいく。
でも、そのおかげでいろんな生きものと出会えた。
森で見つけた生きものたち。
キンモンガ。
アキアカネのメスかな。
正面顔。
ヤマトシリアゲ。
オスはサソリのように尾を上に丸めるようにしているが、メスはオスと違って腹部の先が細くなっていて、少しだけせり上がっている。
初夏に姿を見せるものは黒い体をしているが、晩夏は体がべっこう色をしていて、別名ベッコウシリアゲと呼ばれる。
変わっているのは長く鋭いトキのクチバシのような口器。
成虫は小昆虫や傷ついた虫、その屍体を食べ、花を訪れることもあるという。
約2億5000万年前のベルム期から生息していたシリアゲムシ目に属する、非常に起源の古い昆虫だそうで、その証拠となる化石なども発見されている。
ザトウムシ。
クモに似た外見をしていて、脚がとても長く、豆に針金の脚をつけたような独特の姿。長い脚で前を探りながら歩く様子からザトウムシ(座頭虫)の名がついたという。
東京でもよく見るヒカゲチョウ。
バッタかな。かなり大きめ。
タテハチョウの幼虫だろうか。痛そうなトゲでおおわれている。
イカリモンガ。
蝶に似ているが、ガの一種。
チョウのように昼行性で、翅を立ててとまる。
本人はチョウだと思っている?
これもガの仲間で、クロホシフタオだろうか。
まるでツバメの尾のようだというのでツバメガ科に属していて、「フタオ」は「二尾」の意味。よく見ると後ろの翅が山折り谷折りみたいになっている。
オニヤンマかと思ったらオオヤマトンボのようだ。
カエルが遊歩道を横断中。
昼食は、ビジターセンター近くの「休暇村羽黒」でラーメン(ていうか、メニューはそれしかない)。
その後再び、今度は「二夜の池」周辺を歩く。
休暇村の駐車場にとまっていた車のアンテナでムシヒキアブが交尾中。
秋の虫、バッタ二種?
二夜の池。
なかなか風流な名前。
由来は、「池に映る月が美しく、二晩月見をしても飽きないから」という説があるらしい。
アカトンボ。
ユウマダラエダシャク。
それにしてもいろんなガがいるもんだ。
交尾を終えた直後のイトトンボ。上のオスがまだ下のメスの首根っこを押さえつけている。
その後、バスで40分ほどで鶴岡駅。新潟経由で東京へ。
発車の前にラフランスジェラート。
飛行機なら1時間で羽田着だが、東京駅まで電車を乗り換えてエンエン4時間の旅だった。