フランス・ボルドーの赤ワイン「ジャン・ピエール・ムエックス・ボルドー(Jean Pierre Moueix Bordeaux)2016」
ジャン・ピエール・ムエックスは1937年にボルドーの東、リブルヌ市に設立されたワイン商。ボルドー右岸のシャトーを数多く育て上げ、その1つ、同社が畑を所有するシャトー・ペトリュスの赤ワイン。
シャトー・ペトリュスは、限られた畑から限られた量の赤ワインを生産し、時に応じてカベルネ・フランを使用するのみで、材料のほとんどにメルローに徹しているという。
ラベルに描かれているのは「黄金のイチョウ」で、希望と長寿を象徴し、優美でありながら強い生命力を持っていることからムエックス社のワインを表現するモチーフになっているんだとか。
ワインの友というより、昼間、日比谷シャンテで観たのは先週からロードショーが始まったイギリス映画「ジョーンの秘密」。
2018年の作品。
原題「Red Joan」
コロナ対策で入場時には検温があり、客席は前後と左右1人分あけ。平日の昼間だったがけっこう席は埋まっていた。
スパイ容疑で逮捕された80代の老女の数奇な実話をもとにした映画。
監督トレバー・ナン、出演ジュディ・デンチ、スティーブン・キャンベル・ムーア、ソフィー・クックソン、トム・ヒューズほか。
夫に先立たれ、イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていたジョーン・スタンリー(ジュディ・デンチ)は、突然訪ねてきた秘密情報機関、MI5に逮捕さる。
彼女にかけられたのは、半世紀以上も前にソ連のKGBに核開発の機密情報を漏えいしていたというスパイ容疑だった。
ジョーンは無罪を主張するが、外務事務次官のW・ミッチェル卿の死後に見つかった資料などから、彼女の驚がくの過去が次々と明らかとなる・・・。
イギリスの秘密情報機関の中で海外で暗躍する部門がMI6、国内でスパイを取り締まる部門がMI5に分けられるが、007シリーズでMI6の局長“M”役をしてしいたのがジュディ・デンチ。今回はMI5から追及を受ける立場で登場。
映画の製作時84歳ぐらいだから、まさにピッタリの配役か。
過去と現在を行ったり来たりしながら、ラブストーリーとサスペンスが交錯する物語で、見るものを引き込む。
国家反逆のスパイ罪で追及を受ける彼女だが、「私はスパイではない」と言い切る。
「私はスパイなんかじゃなく、平和のために機密情報をソ連に提供した」と無実を主張する彼女によれば、機密情報漏洩のきっかけは広島、長崎に落とされた原爆による惨状だった。
このままでは再び戦争が起き、今度は核戦争になってしまう、と危機感を持った彼女は、原爆の知識を平等に分け与えて、核の拮抗状態をつくって核戦争を起こさないようするのが情報漏洩の理由だった」と語る。
うーん、ドラマを盛り上げたかったのかもしれないが何かやっぱり屁理屈みたいな主張。
真に平和を望むなら、知り得た情報を公にするなりして、むしろ「核をつくらせなくする」ことに奔走すべきだったと思うのだが。
核兵器を戦争抑止のためのものと捉えてはいけない。核兵器は“必要悪”なんかじゃなく“絶対悪”なんだから、すでに持っている国をはじめすべての国がすぐさま核を放棄する、核兵器の全廃と根絶こそが大事なんだと思う。
ちなみに実在の80代の“ばあばスパイ”は、高齢を理由に不起訴となったという。