山田洋次監督、渥美清主演の「男はつらいよ」の新作、第50作目の「男はつらいよ お帰り 寅さん」を観に行く。
平日の真っ昼間というのにけっこう席が埋まっていて、8分ほどの入り。ただし、お年寄りが多い。映画の帰りにロビーに出たらまるで老人ホームの感があった。
1969年に第1作が劇場公開されてから50周年を迎え、97年の「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」以来、22年ぶりに製作された映画。
倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆らに加え、96年に亡くなった渥美清も出演。歴代マドンナからは後藤久美子、浅丘ルリ子、夏木マリらが登場。映画の最後にはすべての歴代マドンナの名場面が次々に出てきて、ファンとしてはうれしい限り。
見る前は渥美清のいない映画をどうやってつくるんだろう?と思っていたが、過去の映像と現在進行形のドラマが見事に融合していて、まさに新作映画だった。
映画の初めに寅さんの懐かしい顔がアップになるだけで涙が出てくる。
登場人物はみんな実年齢でそのまま年をとった感じがして、50年の歳月がそのまま物語になっている。
ただ、1つだけ違っていたのが満男(吉岡秀隆)の初恋の人、泉(後藤久美子)の父親だった。
泉は母親(夏木マリ)や満男とともに三浦半島の老人介護施設に入居している父親を見舞うが、映画(第43作の「男はつらいよ 寅次郎の休日」)では泉の父親は、母親と離婚し、大分県日田市に住んでいた一男で、俳優は寺尾聡だった。
ところが、余命幾ばくもない感じでベッドに横たわっていたのはナント寺尾聡とはまるでイメージが異なる橋爪功だった。
映画は後半では年老いた親の面倒をどうみるかというのがテーマの1つになっていたから、あんまり元気でさわやかそうな寺尾聡ではどうかと考えて、いかにもジジくさい橋爪功(同じ山田監督の「家族はつらいよ」でも頑固なジジイ役)をキャスティングしたのだろうか。
寺尾聡の年寄り役もみたかったが・・・。
それに一男には宮崎美子という若い妻がいたはずだが・・・。
寅さん映画を何回も何回も見ていると、ついそんな細かいところまで気になってしまう。