善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

コハダの仕込みに挑戦!

JR荻窪駅タウンセブン地下の魚屋の前を通ったら「シンコ」を売っていた。カッコして「コハダ」とある。
シンコはコノシロの幼魚のことで、成長とともに名前が変わる出世魚。一番小さいころをシンコといい、コハダ、ナカズミ、コノシロと名前が変わっていく。
魚屋で(少なくとも東京の)この魚を見るのは初めて。たしか九州産だった。西日本ではよく出回っているのだろうか。
酢締めにして酒のつまみにしようと10匹ほどを買って帰る。

魚屋ではシンコとして売っていたが、測ってみたら12~13センチほどあるからコハダといってよいだろう。よく見るとイワシに似ている。そういえばイワシもコハダもニシン科の魚だ。
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「たしかあの本にコハダの仕込みのやり方が書いてあったはず」と本棚を引っかき回す。
ありました。あの本とは『すきやばし次郎 旬を握る』(里見真三著・文藝春秋)という握り鮨名人・小野次郎氏の聞き書き集。

本の中で次郎氏は「握りの横綱はコハダ」といっている。
マグロだったら素材がよければそれだけでおいしいだろうが、シンコやコハダは小さいのを3枚におろしたり面倒だし、酢締めの加減が難しい。職人のワザがジカに味に影響するだけに、「横綱」といいたいのだろう。
当然、素人の当方にそんなワザはないが、「もどき」ぐらいだったらできるかもしれない。
そこで無謀にもこの本に書かれてある次郎氏のやり方でコハダの酢締めを作ってみた。

まずは三枚おろし。やり方はアジやサバなど普通の魚と同じだが、小さいだけにやりにくい。腹開きをするので背びれを付け根から切り取る。ウロコをかき取る。頭を落として内臓を出し、背中の皮1枚を残して3枚、正確には2枚におろす。
(ちなみにアラは煮出してスープにしたが、けっこうなお味でした)

盆ザルに振り塩をして、コハダの皮身を下にして並べ、まんべんなく塩を振り、そのまま20分おく。
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十分に水が出たところで水洗いして水気を切り(ホントはこのあと酢洗いするのだが、酢がもったいないので省略)、酢につける。酢は京都・三条の「千鳥」。20分後、身が白っぽくなっている。
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ザルに上げて酢を切る。ラップして冷蔵庫で寝かせる。

次郎氏は一晩寝かせるといってたが、3時間ほどで完成とする。
皮がピカピカしていかにも“光りもの”という感じ。
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なかなか美味であったが、たしかに一晩寝かした方がより味に深みが出たかもしれない。