善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ダンス集団「初期型」

3日からはじまった野外アート展「トロールの森」(23日まで)に参加している肉体派?ダンスカンパニー「初期型」のパフォーマンス公演、題して「HAVE(ハヴ)」を日曜日の夜に観た。

会場はJR西荻窪駅前のビリヤード山崎2階。
出演は構成・演出のカワムラアツノリはじめ男4人、女4人。
お客さんは30人ぐらいはいただろうか。

「初期型」とは変わった名前だが、初心を忘れずにフブな気持ちを持ち続けたいという意味か、いまだ初期型の域を脱しきれず初期不良が多くてスイマセン、という意味か。
たしか15年とか20年前からやっているといってたから、20代で始めたとしてもみなさんすでに30~40代に近いはずだが、21の短い作品を立て続けに、肉体をフルに使ってのノンストップ公演だった。

最初のほうの寺山修司の「青森県のせむし男」をモチーフにした「マツと松吉」がいきなり圧巻だった。

青森県のせむし男」は、資産家の家で働く女中マツが跡取り息子に犯され子どもを産むが、世間体を考えてその子は捨てられる。時は流れて主人の老夫婦と息子は死に、女主人となったマツのもとへ、松吉と名乗るせむし男があらわれる・・・という話。

「初期型」のパフォーマンスは、上半身裸、パンツ一丁の2人による熱演。マツ(ちなみに演じているのは男性)に背負われた松吉が互いに名前を呼び合う。
マツは背負った松吉を落とすまいとし、背負われた松吉は必死になってマツにしがみついて落ちまいとする。滴る汗。滑るし重いし筋肉は乳酸で飽和状態になる。
それでも必死に持ちこたえる2人。
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客席からは笑いとともに「松吉がんばれ!」の声が飛ぶ。
10分もしない作品だが、描かれているのは背負い背負われる2人の汗みずくの姿。
いわば「青森県のせむし男」の肉体版的解釈であり、寺山修司がいいたかったことがそこに集約されている気がした。

ほかにも、キスしたいんだかしたくないんだが、寸止め状態で踊る「禁じられた口唇(まだらなまだらインゲン豆が旅立つよ)」
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肋骨にも性への衝動はあるのか?を描いたのか「肋骨リビドー(DUMB)」
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などがおもしろかった。
ほかにも脇をパフパフ鳴らしながら踊る「ワキのニオイをワキガという」など。
カワムラアツノリのソロ「会話」も、表現力豊かでうまい。

こういう作品をみていると今まで思ってもいなかった新しいイメージがわいてきて、創造意欲がかきたてられる。
来年もみたいな。