善福寺公園めぐり

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波国・匈国(ポーランド・ハンガリー)の旅 ~その9 石はなくても土がある ジョルナイのセラミック

ブタペストの街並み。

市内の交通機関は地下鉄、バス、トラムを利用。

65歳以上は無料なのでチケットを買わなくていいのも助かる。

 

ハンガリーのガウディーといわれるレヒネル・エデンの建築で見逃せないものがある。それはセラミックのタイルを多用していることだ。

スペインの建築家でサグラダ・ファミリアなどで知られるアントニ・ガウディーも建築にタイルを多く取り入れていて、特にガウディの場合、壊れたタイルとかガラス、セラミックの破片などを使ってカラフル感を出しているが、レヒネルが使うタイルもまた幾何学模様が鮮やかで美しく、特に屋根の青が印象的だ。

レヒネルは、自分が用いるタイルをマジョリカ焼きといっている。

マジョリカ焼きとは、その源流は中世末期に地中海西部のマジョリカ島を経由して運ばれたスペインの色絵陶器にあるといわれている。

タイルの歴史は古く、エジプトのピラミッドにも使われていたというが、有名なのはイスラムのモスクに施されている青のタイルだろう。

レヒネルがタイルに注目したのは、いかにもハンガリーとう国らしい事情があったのだという。彼によれば、ハンガリーは国土の多くが平原であるため、建築用の石はほとんど採れない。つまり石を建築に使おうとしたら輸入に頼るしかなく、したがって高くつく。一方、ハンガリーにはセラミックに使う土なら豊富にあるので、彼が目をつけたのがセラミックでつくるタイルだったのだ。

ほかにもレヒネルはセラミックの特性として、複製可能であること、つまりのちの時代に改修するときにも図面や型があれば同じものがつくれる、オリエンタル・イメージに合う、などをあげているが、ハンガリーにはジョルナイというセラミック・タイルづくりにこだわる陶磁器のメーカーがあることも見逃せない。

ジョルナイの創設者はジョルナイ・ヴィルモシュ(1828~1900年)という人だが、彼は新し者好きで、陶器の中でも建築装飾に興味を示し、レヒネルの作品に常にジョルナイの最新技術を駆使してレヒネルが求めるタイルを提供したという。

レヒネルの作品以外にも、ジョルナイのセラミックを使った有名建築は多い。

 

王宮の丘にあるマーチャーシュ教会の屋根。

 

ブダペスト中央市場の屋根。ここもジェルナイのタイルに覆われている。

市場の中ものぞいてみる。

パプリカがたくさん。

パプリカはハンガリーの国民的スパイスなんだとか。

 

変わったときころではブダペスト動物園。

 動物園内にあるゾウの館。

まるでインドのタージマハールみたいな外観。

 

タイルからちょっと横道にそれるが、動物園内でチョウが乱舞しているところがあったのでのぞく。

何と、見たこともないチョウばかり!

ついでに野鳥も・・・。

ほかにもブダペスト動物園にはいろんな動物がいて、1日いても楽しめそうだ。

 

話はジョルナイに戻って、レヒネル・エデンの弟子で、タイル建築を得意としたライタ・ベーラによって1907年に建てられたマジャール貿易銀行の柱にあった玉虫色に輝くジョルナイのエオシン釉のセラミック。

ジョルナイのエオシン釉は見る角度や陽射しによって色が変化するのが特徴。

エオシン釉はジョルナイが1893年に開発したもので、名前の由来はギリシア語で「暁」を意味する「エオス」からきているのだとか。

 

夜はドナウ川クルーズ。

「ドナウの真珠」と讃えられるブダペストの夜景を楽しむ。

 

夕食は宿の近くのイタリアンの店。