アメリカ・カリフォルニアの赤ワイン「ヴィントナーズ・リザーヴ・レッド・ワイン・ブレンド(VINTNER’S RESERVE RED WINE BLEND)2018」
アメリカ・カリフォルニア州の大手ワイナリー、ケンダル・ジャクソンのワイン。
ブドウ品種はジンファンデル、シラー、プティ・シラー、メルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルド、マルベック。
さまざまな品種をブレンドしてアメリカンスタイルの濃厚パワフルな味わい。
ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していた日本映画「暗殺」。
1964年の作品。
監督・篠田正浩、出演・丹波哲郎、岩下志麻、岡田英次、早川保、木村功、佐田啓二、小沢栄太郎、須賀不二男、竹脇無我、城所英夫、清水元、武智鉄二、織本順吉、蜷川幸雄、日下武史、水島弘ほか。
司馬遼太郎「幕末」の一篇「奇妙なり八郎」より山田信夫が脚色。
安政7年(1860年)3月の桜田門外の変のあと、倒幕と尊皇攘夷が吹き荒れる幕末を野望に燃えて生きた男・清河八郎(丹波哲郎)の半生を描く。
威風堂々、音声は鐘のようで、眼光人を射るといわれた清河は、文武に優れていたが、庄内藩の郷士出身で何の門閥もないため、極端なまでに権謀術策を用いて頭角をあらわしていく。一方、毒(清河)をもって毒(勤王の志士)を制しようした幕府の浪士取扱・松平主税助(岡田英次)は彼を巧みに操ろうとしていた。
文久2年(1862年)、清河は将軍上洛の際の警護を目的に幕府に願い出て浪士組を結成、京へ向う。ところが清河は、自分の野望を遂げようと浪士組の真の目的は将軍警護ではなく尊王攘夷であるとして朝廷からの勅諚をもらい、幕府に対抗しようとする。
大慌ての幕府は、以前、清河と手合わせして敗れた佐々木唯三郎(木村功)に暗殺を命じる。佐々木は清河の素性を調べつけ回すが、自信満々で弁説さわやかの清河はなかなか隙を見せなかった。しかし、初めて人を斬った清河が錯乱し、愛人お蓮(岩下志麻)にすがりついたと人づてに聞き、「斬れる」と確信する。
勤皇・佐幕の両派から敵としてつけ狙われるようになった清河は、ある夜のこと、酔った隙をつかれた佐々木の刃により非業の最期を遂げる・・・。
浪士隊には芹沢鴨や近藤勇、土方歳三らも加わっていたが、彼らは幕府より朝廷を優先する清河のやり方に同意できず、袂を分かつ。清河暗殺のあと、芹沢、近藤らが結成したのが新撰組だった。
監督の篠田は和製ヌーヴェルヴァーグを意識してこの映画をつくったといわれ、コントラストの強い映像、ストップモーションの多用、最後のシーンの木村功の狂気の表情など、実験的な演出を行ったというが、あまり迫ってくるものはなかった。篠田らしくニヒルなテロリズムの雰囲気はよく出ていたが。
音楽は秀逸。
音楽を担当したのは武満徹で、尺八とプリペアド・ピアノの2楽器のみが用いられ、演奏は尺八・横山勝也、プリペアド・ピアノ・一柳慧。
この音楽こそヌーヴェルヴァーグだった。
ちなみにプリペアド・ピアノとは、グランドピアノの弦にゴムや金属、木などを挟んだり乗せたりして音色を打楽器的な響きに変えたものをいう。「発明」したのはジョン・ケージ。
ついでにその前に観た映画。
民放のBSで放送していたフランス映画「オートクチュール」。
2021年の作品。
原題「HAUTE COUTURE」
監督シルヴィ・オハヨン、出演ナタリー・バイ、リナ・クードリ、パスカル・アルビロ、クロード・ペロンほか。
フランスの高級ファッションブランド「ディオール」のオートクチュール(高級仕立服)部門のアトリエ責任者エステル(ナタリー・バイ)は、長年、お針子を続けてきた大ベテランだが、次のコレクションを最後に引退することを決めていた。
そんなある日、彼女は、地下鉄の通路でハンドバッグをひったくられてしまう。後日、バッグを彼女に返しに現われたのは移民2世の不良少女ジャド(リナ・クードリ)だった。
ジャドの指先の動きからドレスを縫い上げる才能を直感したエステルは、ジャドを許し、見習いとしてアトリエに迎え入れることにする。
ジャドは最初は彼女の厳しい指導に反発するが、次第に仕事に向き合うようになる。だが、コレクションを真近に控えたある日、糖尿病を患っていたエステルは過労で倒れてしまう・・・。
郊外の団地に住む貧しい移民の娘と、世界に名高いファッションブランドを支えてきた誇り高きアトリエスタッフ。まるで違う世界に生きていても、美しさを求める気持ちに変わりはない。
しかも、一方は貧しくても若く、明るいかどうかはわからないが未来が待ち受けていて、一方は誇り高くても病気を抱え、老いていくばかり。そんな対称的な2人が出会い、何度も衝突しながらも、美を創造することで重なり合っていく・・・そんな物語だった。
オートクチュールとは、デザイナー同業者組合であるパリ・クチュール組合(通称サンディカ)加盟店で注文により縫製されるオーダーメイド一点物の最高級仕立服のこと。だからオートクチュールとはパリのサンディカ加盟店の店(メゾンと呼ばれる)にのみ用いられる言葉だ。
1年に2回、パリで開催されるファッションブランドの新作発表会がパリコレクション、略してパリコレ。3月と10月は高級既製服のプレタポルテ・コレクション、1月と7月に開かれるのがオートクチュール・コレクション。たくさんのデザイナーたちが個性的で独創的な新作を発表し、世界中のファッション関係者たちが注目する。
オートクチュールと認められるためにサンディカに正式に加入するには、パリに一定数以上のプロの技術者、つまりお針子たちを抱えたアトリエを持つなどの様々な条件や審査がある。なぜなら、オートクチュールは手仕事の高度な職人技術が反映されたフランスの伝統と職人技が誇る芸術品だからだ(ちなみに日本人でサンディカに正式に加盟したオートクチュールデザイナーは唯一、森英恵のみといわれる)。
歴史あるフランスの服飾文化の中で育まれた伝統技術の結晶がオートクチュールであり、デザイナーの意向をくみ取り、一点一点、手縫いにより洋服を仕立てるのはお針子さんたちの仕事。ディオールのドレス1着は生地だけで1000万円を超えるものもあり、平均価格は2000万円~3000万円もするそうだが、それだけに、芸術性が要求されるアーティスティックな仕事なのだ。
民放のBSで放送していたアメリカ映画「グリーンゾーン」。
2010年の作品。
原題「GREEN ZONE」
監督ポール・グリーングラス、出演マット・ディモン、エイミー・ライアン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソンほか。
2003年3月、フセイン政権下のイラクに「大量破壊兵器」が隠されているというのを理由にアメリカ軍が侵攻して始まったイラク戦争。アメリカ軍はピーク時に約17万人を派兵し、作戦は20年以上も続いたが、実はイラクには「大量破壊兵器」などなく、アメリカのウソによる軍事侵攻だったことを暴いたサスペンス・アクション映画。
今のロシアと同じことをアメリカもやっていたことを示す作品ともいえる。
2003年、イラクの首都バグダッド。イラク戦争開戦から4週間がたち、既にこの地は陥落していた(フセイン大統領は逃亡後捕まり、のちに処刑された)。しかし、米軍が駐留する安全地帯であるグリーン・ゾーンのすぐ外は、危険と混乱渦巻く無政府状態が続いていた。
アメリカ陸軍上級准尉ロイ・ミラー率いるMET隊(移動捜索班)は、大量破壊兵器が隠された倉庫があるという情報のもと出動したが、そこは何もないただの廃工場だった。作戦の失敗はこれで3度目であり、彼は次第に兵器の実在に疑念を抱くようになっていった・・・。
本作では小役人の出世のための陰謀みたいに描かれているが、そうじゃない。イラク戦争はブッシュ政権下のアメリカ政府の陰謀により始まった戦争だった。
しかもアメリカは、国連安全保障理事会の決議も得ずに、同盟国を引き連れてイラクへの侵攻を始めていた。
イラクではその後、イスラム教の宗派間の対立や過激派組織IS=イスラミックステートの台頭などで治安の悪化が続き、この20年でおよそ20万人もの民間人が犠牲となったといわれている。
そのアメリカのイラク軍事侵攻に日本の小泉政権は支持を表明。後方支援のため人道的復興支援だとして自衛隊をイラクに派遣することまでやっていた。
作品の話に戻れば、アクションシーンが臨場感あふれていて見事だった。
世界中を探し回ってスペイン、モロッコでロケ地を探し、「2003年のバグダット」を再現したのだとか。
マット・ディモンの深夜の追跡シーンが手持ちカメラを使って生々しく描かれていて、どこかで見たことあるなーと思っていたら、監督のポール・グリーングラスとマット・ディモンは「ボーン」シリーズでタッグを組んだ仲で、あの映画の緊迫感を彷彿させた。