イタリア・ヴェネトの赤ワイン「コルテ・ジャーラ・リパッソ・ヴァルポリチェッラ(CORTE GIARA RIPASSO VALPOLICELLA)2019」
(写真手前左は、新メニューの牡蠣の豚肉巻きとパプリカ)
イタリア・ヴェネト州のワイナリー、アレグリーニがヴェネト州の伝統製法リパッソで造るワイン。
ヴェネト州はイタリア北東部に位置し、アドリア海に面していて州都はヴェネツィア。
伝統製法のリパッソとは、アマローネというこの地方独特のワインを造る際に出た黒ブドウの搾りかすに通常の赤ワインを注ぎ入れて再発酵させる醸造手法のこと。
干しブドウのような状態のブドウを搾って造るアマローネの搾りかすにはまだまだ糖分が残っていて、これを再利用することで素材を十分に使い切るという知恵が生み出したものだが、より濃厚でコクのある味わいに仕上がる。
ブドウ品種はヴェネト州で主に栽培されているコルヴィーナ・ヴェロネーゼとロンディネッラ。
ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたドイツ映画「コッホ先生と僕らの革命」。
2011年の作品。
原題は「Der ganz große Traum」
監督セバスチャン・グロブラー、出演ダニエル・ブリュール、ブルクハルト・クラウスナー、ユストゥス・フォン・ドーナニーほか。
ドイツサッカー界の父といわれるコンラート・コッホの実話をもとに映画化したヒューマンドラマ。
第1次世界大戦を前にした19世紀末、反英感情が高まるドイツでは、イギリスで生まれたサッカーは“反社会的なもの”とされていた。そんな中、イギリス留学を終えてドイツに帰国したコッホ(ダニエル・ブリュール)は、金持ちの子どもが多く通う名門校に英語教師として赴任。授業の一環としてサッカーを教える。サッカーを通して、子どもたちはフェアプレーとスポーツマンシップの精神を学ぶ中で、それまで抱えていた労働者階級への差別意識も偏見も少しずつ薄れていく。
しかし、コッホの自由と平等を重んじる教え方に対して、昔ながらの規律と慣習のみを信じる地元の名士たちは、貧しい家の子どもを退学させ、サッカーを禁止してコッホまでも学校から排除しようとする。危機迫るコッホと生徒たちの運命は・・・?
映画でも描かれていたが、この時代にドイツで主流だったのはドイツ式体操という器械体操を主とした体操だった。スウェーデン体操、デンマーク体操とともに世界三大体操の1つに数えられているらしいが、ドイツ式体操は軍事教練としても役割を果たしていたようだ。
実はこのドイツ式体操は明治時代に富国強兵をめざす日本の軍隊が取り入れていて、のちに学校教育でもドイツ式体操が行われるようになった。
今でも学校に行くと鉄棒や平均台があるが、ドイツ式体操の名残だ。
運動会で行われる組体操も元祖はドイツといわれている。
映画の原題の「Der ganz große Traum」は日本語に訳すと「大きな夢」というシンプルなタイトル。
コンラート・コッホは実在した人物だが、実際のコッホは映画で描かれたように英語教師ではなく、古典語(ギリシア語・ラテン語)教師だったという。
彼の功績のひとつは、「体育」ではなく「ドイツ式体操」が行われていた当時のドイツで、サッカーを取り入れることによって学校教育に初めてスポーツを位置づけたことといわれている。
映画の後半では、サッカーの本場イギリスからやってきた少年チームとドイツの子どもたちのチームとのサッカーの試合が描かれていて、ボールを追いかける選手たちのひたむきな姿に引き込まれた。
貧しい労働者の息子でいじめられっ子だけどマラドーラ並みにドリブルがうまい子が右サイドからクロスでボールを蹴ると、いじめっ子だったけどそんな自分を恥じた金持ちの子がそれを合わせてヘディングシュートで見事ゴールするシーンは、見ているこっちも興奮。差別とは大人がつくり出したもので、少年たちたちはそんなものを乗り越えて進んでいくことを象徴するシーンだった。