善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+「タクシー運転手 約束は海を越えて」

イタリアの赤ワイン「テッレディライ・アーチニ・ロッシ(TERREDIRAI ACINI ROSSI)2018」f:id:macchi105:20200602180930j:plain

料理はこのあとシシカバブ

 

ワイナリーはイタリア・ヴェネト州の州都ヴェネツィアから北へ30㎞ほどのトレヴィソ地区にあるカ・ディ・ライオという小さなワイナリーです。この地域では、16世紀よりも前から教会中心にワイン造りを行ってきた歴史があるとか。

背の高いブドウ樹を左右に並べ、トンネルのように枝を張らせていく「ベルッセラ」と呼ばれる伝統的な方法で栽培したブドウを使用。カヴェルネ・ソーヴィニヨン100%。

 

ワインの友というか、ワインのあとに観たのはNHKBSで放送していた韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」

2017年製作の作品。

監督チャン・フン、出演ソン・ガンホトーマス・クレッチマンほか。

 

韓国・光州市で1980年5月、多数の死傷者を出した光州事件を世界に伝えたドイツ人記者と、彼を事件の現場まで送り届けたタクシー運転手の実話を元につくられた映画。

韓国で1200万人を動員する大ヒットを記録。タクシー運転手はソン・ガンホ、ドイツ人記者ピーター役は「戦場のピアニスト」のトーマス・クレッチマン

 

1979年の独裁政治家・朴正煕大統領の暗殺後、「ソウルの春」と呼ばれる民主化ムードが高まったのも束の間、軍部のクーデターにより全斗煥政権が誕生した。

翌80年5月、軍事政権は全国に戒厳令を布告。野党指導者の金大中、金泳三らを逮捕・監禁。金大中は光州市がある全羅南道の出身で、絶大な支持を集めていた。

1980年5月、民主化を求める大規模な学生・民衆デモが起こり、光州では市民を暴徒とみなした軍が厳戒態勢を敷いていた。

「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」というドイツ人記者ピーターを乗せ、光州を目指すことになったソウルのタクシー運転手マンソプは、約束のタクシー代を受け取りたい一心で機転を利かせて検問を切り抜け、時間ギリギリにピーターを光州まで送り届けることに成功する。

留守番をさせている11歳の娘が気になるため、危険な光州から早く立ち去りたいマンソプだったが、ピーターはデモに参加している大学生や現地のタクシー運転手らの助けを借りて取材を続けていく。

そして、光州市でマンソプが見たものとは・・・。

 

深刻なテーマ。許せない軍事政権の殺戮。しかし、ソン・ガンホの笑わせる演技が肩をほぐしてくれる。

彼の演技を見て、渥美清主演の「男はつらいよ」を思い出した。あの映画は喜劇映画にほかならないが、実は社会を鋭く見つめる映画であり、笑いは社会の矛盾をあぶり出す武器としても働いていた。

 

本作でも、一見するとノー天気だがいざとなると庶民の味方になるソン・ガンホの演技が、あの事件の本質を浮き立たせているように思えた。