善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「雨のニューオリンズ」ほか

スペインの赤ワイン「カベルネ・ソーヴィニヨン・メルロ(CABERNET SAUVIGNON MERLOT)2018」

(写真はこのあと牛焼肉)

スペイン北部ソモンターノのワイナリー、エナーテの赤ワイン。

ソモンターノはフランスとの国境に近いスペイン北東部アラゴン州にあるワイン産地。ソモンターノは「山麓」という意味だそうで、その名の通り州北部ピレネー山脈のふもとに位置している。

ソフトなタンニンに豊かな果実味によるジューシーな味わい。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたアメリカ映画「雨のニューオリンズ」。

1965年の作品。

原題「THIS PROPERTY IS CONDEMNED」

監督シドニー・ポラック、出演ナタリー・ウッドロバート・レッドフォードチャールズ・ブロンソンほか。

 

テネシー・ウィリアムズの一幕劇「財産没収」の映画化。

1930年代のアメリカ南部の小さな町。鉄道従業員のリストラのためにやってきたオーウェンロバート・レッドフォード)は、滞在する下宿屋の娘で、ニューオリンズに行くのが夢のアルバ(ナタリー・ウッド)と愛し合うようになる。一方、夫は蒸発してしまい一人で下宿屋を切り盛りする母親は、下宿屋の経営が苦しくなっていて、何とかしようとアルバを金持ちの中年男の愛人にさせて、自分たち家族も貧しさから脱しようとしていた。

そんなある日、解雇された従業員(チャールズ・ブロンソン)らがオーウェンを袋叩きにしてしまう。もうこんなところにはいられないと、アルバはこっそりオーウェンとともにニューオリンズへ旅立とうとするが・・・。

 

映画公開時、ナタリー・ウッドは「理由なき反抗」「草原の輝き」「ウェストサイド物語」などですでに人気女優になっていたが、ロバート・レッドフォードはまだ駆け出しの俳優で、彼が一躍スターとして認められるのは1969年の「明日に向かって撃て!」からぐらいだろう。

チャールズ・ブロンソンも「荒野の七人」(60年)などで日本でもおなじみだったが、その他大勢の1人で脇役に甘んじていた。

脚本はフランシス・フォード・コッポラで、当時まだ26歳。のちに「ゴッドファーザー」「地獄の黙示録」などの監督・脚本で有名になっていく。

その意味でハリウッドの大スターや名匠の若いころを知る貴重な映画でもあった。

 

それにしても、後半のニューオリンズの場面になってジャンジャン雨の降る映画。

従って邦題も「雨のニューオリンズ」だが、ニューオリンズはそんなに雨が多いのか。

ニューオリンズルイジアナ州南部、メキシコ湾に面してミシシッピ川の河口に位置する同州最大の港湾都市で、気候区分は温暖湿潤気候に区分されているらしいが、夏は湿度が高く暑い亜熱帯気候。6月~8月にかけては平均降雨日数が月に13日前後というから、2日にいっぺんは雨が降っている勘定で、雨は多いみたいだ。

まるで蒸し風呂の中にいるような気だるい雰囲気。街に流れるジャズの音色もどこかもの哀しい。その中での家族や男女の愛と憎しみ、あつれき、破滅・・・。「ガラスの動物園」「欲望という名の電車」「熱いトタン屋根の猫」といったテネシー・ウィリアムズの世界観とピッタリのような感じがした。

 

原題の「THIS PROPERTY IS CONDEMNED」もテネシー・ウィリアムズの原作の題名から取られていて、税の滞納のため行政当局から差し押さえられた家屋や家具に貼られたシールの文言という。日本でいったら「差し押さえ済み」といった意味か。それがそのままタイトルとなっている。

つまり、「貧しさ」がこの映画のテーマなのだろう。

それは、経済的に破産状態に追い込まれての「貧しさ」だけではない。経済的な破滅はその家庭も崩壊し、家族は散り散りバラバラとなり、やがて消滅していくことをも意味しているのかもしれない。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたアメリカ映画「アデライン、100年目の恋」。

2015年の作品。

 

監督リー・トランド・クリーガー、出演ブレイク・ライヴリー、ミキール・ハースマン、キャシー・ベイカー、ハリソン・フォードほか。

 

若く美しい女性アデライン(ブレイク・ライヴリー)は、交通事故と落雷による偶然が重なり、不老の体となってしまう。時が止まり、永遠の29歳を生きることになったアデライン。

その事実を知られないようにするために、アデラインはたびたび居住地を変え、名前を変えなければならなかったが、サンフランシスコでジェニーと名乗っていたアデラインはエリス・ジョーンズ(ミキール・ハースマン)という青年と出会い、つき合い始める。

ところが、彼の実家を訪れ、エリスの父親ウィリアム・ジョーンズハリソン・フォード)に会うと、彼は初対面のはずのジェニーを見た途端に驚きの表情を浮かべ、「アデライン」と呼びかける。ウィリアムは若いころにアデラインと出会い、愛し合っていたのだった・・・。

 

29歳の姿のまま100年以上を生き続けた女性の物語というのでファンタジーかと思ったら、意外と生々しい展開。

しかし、たとえ肉体は29歳のままでも、頭の中は100年の蓄積があるはずだが、脳の発達もその時点で止まっちゃってるのだろうか?

不思議に思ってるうちに映画は終わる。