イタリア・トスカーナの赤ワイン「サバツィオ ロッソ・ディ・モンテプルチアーノ(SABAZIO ROSSO DI MONTEPULCIANO)2018」
イタリアワイン界の名門、アンティノリ家がトスカーナで手がけるワイナリー、ラ・ブラチェスカのワイン。
ラ・ブラチェスカが位置するコルトーナは、古代ローマ時代から続くトスカーナを代表する銘醸地。そのコルトーナでも特によく熟す高地の畑で獲れるブドウを使った赤ワインという。
ブドウ品種はプルニョーロ・ジェンティーレ85%、メルロ10%、その他5%。
なかなか深遠な味わい。
ワインの友で見たのは、NHKBSで放送していた、イタリアつながり(というわけでもなく、たまたまなんだが)アメリカ映画「ゴッドファーザーPARTⅢ」
1990年の作品。
監督フランシス・フォード・コッポラ、出演アル・パチーノ、ダイアン・キートン、アンディ・ガルシア、タリア・シャイア、フォード・コッポラほか。
マフィアのボスとして絶大な権力を握ったマイケル(アル・パチーノ、マーロン・ブランド演じるドン・コルレオーネの三男で、二代目ドン)の最晩年の物語。
1979年のニューヨーク。ファミリーのドンとなったマイケル・コルレオーネは、父の名を取った「ヴィトー・コルレオーネ財団」の名の下、「シシリー復興のための資金」との名目で行った多額の寄付が功を奏してバチカンより叙勲され、同時にバチカン内の資金運営を掌るアメリカ人のギルディ大司教との関係を得る。
そして、それをきっかけとして長年にわたって非合法ビジネスに関与してきた一族の活動から引退を決意するとともに、合法ビジネスへの全面的な転換を画策していた・・・。
映画のはじめのほう、バチカンからのマイケルの叙勲を記念するパーティーで、聞いたような音楽が流れてきてびっくりした。
トランペットで吹いていたのは、昔懐かしい「しゃれこうべと大砲」だった。
たしかにイタリアの曲とは知っていたが、反戦歌として口ずさんでいたものだった。それが何でまた、マフィアのボスのパーティーで流されるんだろうか?
「しゃれこうべと大砲」の1番はこんな歌詞だ。
大砲の上に しゃれこうべが
うつろな目を ひらいていた
しゃれこうべが ラララ言うことにゃ
鐘の音も 聞かずに死んだ
で、改めて調べてみたら、もともとこの曲はイタリア・シチリア島の民謡(原題は「Vitti 'Na Crozza」)で、日本語の歌詞は東大音感合唱研究会という音楽サークルによるものだった。
シチリア島といえばマフィアのふるさと。しかもこの曲はシチリア民謡の代表格だそうで、マフィアのドンのパーティーで流れても何の不思議もない。
この曲は1950年製作のピエトロ・ジェルミ監督の映画「越境者」の挿入歌でもあった。
「越境者」はシチリア島が舞台で、島の南部の硫黄鉱山の閉鎖によって失業した坑夫たちが、家族とともにイタリア半島を縦断して、吹雪のアルプスも越えて、希望の地に越境していくという物語。
日本でも公開されて反響を呼んだらしいが、その挿入歌に訳詞がつけられ、「しゃれこうべと大砲」の題で広まったのだろうか。
あるいはイタリアでも反戦歌として歌われるようになっていて、日本に伝わったのだろうか。
マフィア(のふるさと)とのちょっとした因縁を感じた。
ちなみに2番以下は次の通り。
雨に打たれ 風にさらされて
空の果てを にらんでいた
しゃれこうべが ラララ言うことにゃ
お袋にも 会わずに死んだ
春がきても 夏が過ぎても
誰も花を 手向けてくれぬ
しゃれこうべが ラララ言うことにゃ
人の愛も 知らずに死んだ