善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ちさの花 咲く

土曜日朝の善福寺公園は曇り。夜来の雨もやんだと思って出かけたが、ときどき小雨、やがて晴れてくる。

 

けさのカワセミは、上池にオスのB2くんらしいのがとまっていた。

近くの木陰にメスもいたが、すぐにいなくなる。

それを追ってか、B2くんもいなくなる。

 

けさは鳥の声があんまりしないなーと歩いていると、ツミが高いところにいて、キョロキョロしている。

このところ頻繁に出没しているタカの仲間だ。

獲物を探しているのか。

危険を察知して、ほかの鳥たちは緊急避難しちゃったみたいだ。

ツミに襲われる心配のないのは虫たち。

白い透明感のある幼虫が葉っぱをむさぼり食べていた。

ガの幼虫だろうか。

 

ノイバラの花にいたのはコガネムシかカナブンか。

触角が大きくて先端が広がっている。

 

ワカバグモのようだが、もっと新緑の若葉のような色をしているはず。幼体かな。

 

見上げるとエゴノキが咲いていた。

果実は「えぐい味」がするので「えぐい」→「えごい」→「エゴノキ」と変化したといわれる。

しかし、万葉の時代は「ちさ」と呼ばれていた。

 

ちさの花 咲ける盛りに はしきよし その妻の子と 朝夕に 笑みみ笑まずも うち嘆き(長歌) 大伴家持

 

山ぢさの 白露しげみ うらぶれて 心も深く 我が恋やまず 柿本人麻呂

 

息の緒に 思への我れを山ぢさの 花にか君がうつろひぬらむ 作者不詳

 

「ちさ」の語源は、「小さい」の意味とも、「チは茎葉を切ると乳汁のようなものが出るところから」との説もあるらしい。

 

歌舞伎の「伽羅先代萩」にも「ちさの木」が登場する。

有名な乳母の正岡の“飯炊き(ままたき)”の場面。
おなかを空かした若君さまのご機嫌をとるように、正岡が息子の千松に「いつも歌ふ雀の唄、歌ふて御前の御機嫌とりや」という。

同じようにおなかを空かした千松は、涙でしゃくりながら「こちの裏のちさの木にちさの木に、雀が三疋(ひき)止まって止まって、一羽の雀が云ふことにや云うことにや」と歌う。

 

その場面を思い出しながら、わが家では「エゴノキ」といわず「ちさの木」と呼んでいる。