善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「友だちのうちはどこ?」

イタリアのスパークリングワイン「ブリュット・テアトロ・アッラ・スカラ・エディション[ボックス付](BRUT TEATRO ALLA SCALA EDITION [BOX])2015」f:id:macchi105:20211016111954j:plain

イタリア北部、ロンバルディア州東部のフランチャコルタでつくられるスパークリングワイン。シャルドネピノ・ネロをブレンドし、6年もの熟成期間を経て完璧なバランスの味わいに仕立て上げた、という。

ミラノの歌劇場スカラ座に捧げられる限定版だとか。

ボックスの中に入っていて、パッケージにもスカラ座が描かれている。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたイラン映画「友だちのうちはどこ?」。

1987年の作品。

監督・脚本アッバス・キアロスタミ。彼は小津安二郎の大ファンだそうで、なるほど本作にも小津の影響が色濃く出ている気がする。出演者は職業俳優は使わず、撮影した村の住民が出演したりして、いわば“素人俳優”だという。

 

物語は至極単純で、友だちの大切なノートを間違えて持ち帰ってしまった少年が、ノートを返すため友だちの家をあちこち探し歩く、というだけの話。

イラン北部にあるコケール村の小学校。モハマッドは宿題をノートではなく紙に書いてきたため先生からきつく叱られ、「2度は許しても3度目はダメだ。今度同じことをしたら退学だ」と告げられる。

ところが、隣の席に座る親友アハマッドが、間違ってモハマッドのノートを自宅に持ち帰ってしまった。

ノートがないとモハマッドが退学になると焦ったアハマッドは、ノートを返すため、遠い隣村に住む彼の家を探し回るが、行けど探せどなかなか見つからずに、夜になってしまい・・・。

 

物語はアハマッドが住むコケル村とモハマッドが住むポシュテ村とで展開されるが、コケルからポシュテへ行くにはジグザグにくねった道を登り、丘を超えて行かなければならない。アハマッドはなかなか友だちの家を見つけられず、何度もジグザグの道を登ったり下りたりして、2つの村を行き来するはめになる。

ただそれだけの話なのだが、少年が歩く道々で、イランの人々の暮らしぶりや隣人との付き合い、子どもたちの日常、親が子どもたちをどうしつけているのか、といったことが演出によるものではなく実際の生活の様子として垣間見られ、それが物語を豊かなものにしていて、友だちを思うひたむきな少年の姿とともに、なかなかおもしろかった。

東京物語」や「晩春」「秋刀魚の味」などで知られる小津安二郎は、自然な、あるがままの姿を映像で表現しようとした監督だったが、本作はまさにイランの子ども版「東京物語」だった。