フランス・ローヌの赤ワイン「コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・レ・ベック・ファン・ルージュ(COTES DU RHONE LES BECS FINS ROUGE)2019」
(写真はこのあと肉料理)
南フランス・ローヌ地方でワインづくりをするタルデュー・ローランの一本。ラベルにある「レ・ベック・ファン」とは「素敵なグルメ」を意味するのだとか。
シラー(70%)、グルナッシュ(30%)。
パンは吉祥寺のダンディゾンのパン。中でもおいしかったのが「モザイックミュレ」。
ナッツやドライフルーツをぎっしり詰めた発酵菓子。イチジク、プルーン、カランツ、アプリコット、クランベリー、カシューナッツ、クルミ、アーモンド、ひまわりの種、白ごま、オーツ麦、シナモン、はちみつ、ダークラム、キルシュ、カシスリキュール、ライ麦粉などが入っていて、薄く切って食べる。ワインにぴったり。
ワインの友で観たのは民放のBSで放送していたフランス映画「うず潮」。
1975年の作品。
原題「LE SAUVAGE」
監督ジャン=ポール・ラブノー、出演イヴ・モンタン、カトリーヌ・ドヌーヴ、トニー・ロバーツほか。
原題は直訳すれば「野生」ということか。それがなぜまるで意味の違う「うず潮」なんて邦題になったかというと、カトリーヌ・ドヌーヴはこの映画の3年前に「ひきしお」、イブ・モンタンはその同じ年に「夕なぎ」に出演していて、配給会社が柳の下のドジョウをねらったのか。
孤独を愛する男(イブ・モンタン)がホテルの部屋にいると、一人の女性(カトリーヌ・ドヌーブ)が飛び込んできた。彼女は結婚式の寸前、相手に嫌気がさして逃げてきたという。男はもともと香水づくりの名手で香水会社の社長の地位にあったが、文明社会を嫌って孤島で原始的な生活を送っていた。
彼女を追っ払って孤島に戻ってみると、なぜか女もやってきて、2人の共同生活が始まり、男は次第に彼女の奔放な性格に惹かれていく。ところが女はロートレックの絵を盗み出していて、結婚相手と絵の所有者の両方から追われていた・・・。
ドタバタ気味のラブコメだが、すでに大スターになっていたドヌーヴとモンタンの初共演作。
ドヌーヴは「シェルブールの雨傘」からすでに10年近くがたっているが、まだまだ若くて魅力的。それより驚いたのはモンタンの若さ。彼が出演した映画はどこか疲れた感じで暗いイメージの役が多かった気がするが、本作では細おもてでまるで別人のように若く、たくましい役どころ。題名の「LE SAUVAGE」(野生)というのは彼のために用意されたのか。
この映画のときドヌーヴ32歳、モンタン54歳。ともに十分若い。
ちなみに、イヴ・モンタンは芸名で、本名はイーヴォ・リーヴィ(Ivo Livi)。子どものころ、戸外にいたモンタンを母親が階上から「イーヴォ、モンタ(イーヴォ、上がってきなさい)!」と大声で呼んだことにちなんでいるとか。
家庭が貧しかったこともあり11歳のころから働き出す。18歳ごろからマルセイユの酒場などで歌い始め、23歳のとき、歌手を夢見てパリに移り住み、ムーラン・ルージュで歌っていたところをエディット・ピアフに見出されたという。モンタンの代表作「枯葉」は日本でもヒットした。
モンタンはピアフにとって最愛の弟子であり、やがて恋愛関係にも発展していく。ピアフの代表作のひとつ「バラ色の人生」はモンタンのために書かれたという。