善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「野のユリ」他

アルゼンチンの赤ワイン「カイケン・エステート・マルベック(KAIKEN ESTATE MALBEC)2018」

(写真はこのあとき豚ロースの木の芽ソース添え)f:id:macchi105:20210513083945j:plain

カイケンはチリのモンテス社が隣国アルゼンチンに所有するワイナリー。

アンデス山脈の渡り鳥、ガンを現地名でカイケンと呼ぶそうだ。

マルベック100%。まろやかで飲みやすいワイン。

 

アメリカ映画「野のユリ」

1963年のモノクロ作品。

原題「LILIES OF THE FIELD

監督ラルフ・ネルソン、出演シドニー・ポワチエ、リリア・スカラほか。

 

ポワチエが黒人として初めてオスカーに輝いた作品。

東ドイツから亡命した5人の尼僧たちがアリゾナの荒れ地で暮しながら布教活動をしている。そこへやってきたのが、車で気ままな放浪生活をしている元GIの青年ホーマー・スミス(シドニー・ポワチエ)。立ち寄った目的は桶1杯の水をもらうためだったが、リーダーのマザー・マリア(リリア・スカラ)から屋根の修理を頼まれる。1日の雇われ仕事のつもりで引き受けると、賃金を払ってくれないばかりか、教会を建てろといわれてしまう。

修道女たちはアメリカにきたばかりでほとんど英語も話せない。マザー・マリアはホーマー・スミスという名前までもホーメル・シュミットとドイツ語に翻訳して、「シュミット! シュミット!」と呼びながら、あれこれ仕事をいいつけ、有無をいわさぬ勢いに押されたホーマーは、結局のところ無償で教会建設に取り組んでいく・・・。

 

映画のタイトル「野のユリ」の由来は、新約聖書マタイ伝6章28節の次のくだりによる。

「野のユリがどうして育っているかを考えてみるがよい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、栄華をきわめたときのソロモンでさえ、この花の1つほどにも着飾ってはいなかった。きょうは生えていて、あすは炉に投げ入れられる野のユリでさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたにそれ以上よくしてくださらないはずがあろうか」

だから、何を食べようか、何を飲もうか、あるいは何を着ようかと思いわずらうことはない。ましてや神の思し召しで教会を建てるのに、それ以上の何を求めようというのか、とマザー・マリアはいってるのだった。

 

おもしろかったのがホーマーがゴスペルソングの「エイメン(Amen)」を歌うシーン。

ゴスペルは、アフリカ系アメリカ人の悲痛な歴史の中から生まれた。17世紀に多くのアフリカ人が故郷から遠く離れたアメリカに奴隷として強制的に連行され、働かされた。過酷な暮らしの中での悲しみや喜びを歌ったのがゴスペル(福音)だった。

 

修道女たちもキリスト教徒だが、彼女らはカトリックであり、ホーマーはプロテスタント

「アヴェ・マリス・ステラ」というカトリック聖歌を歌いながら「アーメン」と静かに祈る彼女らを前に、ホーマーは「エ~イメン!」と身ぶり手ぶりで高らかに歌い、いつしか修道女たちもそれに唱和して、大合唱となっていく。

ちなみにこの「エイメン」は本作のために俳優で作曲家、聖歌指揮者でもあったジェスター・ヘアストンがアレンジし、映画の公開のあと広く普及していった。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたアメリカ映画「スリー・デイズ」。

2010年の作品。

原題「THE NEXT THREE DAYS」

監督ポール・ハギス、出演ラッセル・クロウエリザベス・バンクスリーアム・ニーソンほか。

 

フランス映画「すべて彼女のために」(2008年)のリメイク。

大学で「ドン・キホーテ」を教えるジョン(ラッセル・クロウ)は、妻子と幸せな日々をすごしていたが、ある日、妻のララ(エリザベス・バンクス)が殺人の容疑で逮捕される。それから3年、ジョンは妻の無実を証明するため懸命に奔走していたが、覆ることなく刑が確定してしまう。絶望した妻が獄中で自殺を図ったことを知り、彼は自らの手で妻を取り戻そうと決断する。

周到に計画を立てて脱獄の準備をするが、突然、ララが別の刑務所に移送されることが判明し、移送までの期間は3日間しかない。

追い詰められたジョンは麻薬密売人を襲撃して資金をつくり、妻子を愛するがゆえの脱獄と逃避行に挑んでいく・・・。

 

そんなバカな、うまくいくはずはないのに、と思いながら見ていくと、なるほどあり得るかも・・・と納得してしまうから映画って不思議。