スペイン・カタルーニャの赤ワイン「サン・ヴァレンティン(SAN VALENTIN)2018」
写真はこのあと牛ステーキ。
先日に続いてスペイン・カタルーニャのトーレスの、スペイン本家のワイン。
3代目オーナーが妻へのバレンタインのプレゼントとして造ったワインだとか。トーレスのワインには牛のマスコットがついているので知られるが、このワインには天使のマスコット。
ガルナッチャ・ティント(グルナッシュ)100%。スペインを代表する赤ワイン用ブドウ品種で、すっきりとした味わい。
数日して飲んだのがアルゼンチンの赤ワイン「カイケン・エステート・マルベック(KAIKEN ESTATE MALBEC)2018」
カマンベールチーズが認知症予防に有効とのヒトを対象とした実験結果があるとかで、イブリガッコに乗せて食べる。イチジク入りの羊羹もワインに合う。
カイケンはチリのモンテス社がチリのとなり、アルゼンチンに所有するワイナリー。アンデス山脈を越えたという意味で、アンデス山脈の渡り鳥、ガンの現地名である「カイケン」と名付けられたという。
マルベック100%。
ワインの友で観たのはNHKBSで放送していたイギリス・アメリカ合作映画「アラビアのロレンス」。
1962年の作品。
監督デヴィッド・リーン、音楽モーリス・ジャール、出演ピーター・オトゥール、アレック・ギネス、アンソニー・クイン、オマー・シャリフほか。
映画史に残る名作。昔々に映画館で観て以来、その後もたびたびテレビで放送されたが、「アラビアのロレンス」は70ミリの大画面で観るべしと、観てなかった。
しかし、実は映画館で観たのは207分の劇場公開用短縮版。その後、四半世紀以上がたってから監督のたっての要望があったのか、227分の完全版がつくられた。となれば、たとえテレビでも観ないわけにはいかない。
最初の公開時でも3時間を超える超大作で途中でインターミッションがあったが、完全版は4時間近い超々大作だ。
当方も、いっぺんに見ると疲れるので2晩に分けて鑑賞した。よってワインも2本分となった。
第一次世界大戦のさなか、アラブに魅せられたイギリスの陸軍将校T・E・ロレンスが率いた、オスマン帝国からのアラブ独立の戦いと、それを陰で操ろうとするイギリスをめぐる歴史映画。
アラブ人から「オレンス」と慕われたロレンス指揮のアラブ連合軍は、死のネフド砂漠を越えてアカバ攻略を果たし、ダマスカス入城を目指し進軍していくが・・・。
ロレンスの自伝「知恵の七柱」を脚色し、「戦場にかける橋」のデイヴィッド・リーンが監督。主演のピーター・オトゥールは当時30歳。舞台俳優出身の新人だったという。190㎝近い長身と、金髪で人をひきつける「青い目」が選ばれ理由だったのではないか。映画では、たびたび砂漠の中のピーター・オトゥールの青い目がクローズアップされるが、そこにはある種の「狂気」さえも宿っている感じで、それこそデヴィッド・リーンが表現したかったものではないか。
ロレンスとともに戦い、常に彼を支えてきたアラブの族長アリを演じたオマー・シャリフも、オトゥールと同い年の30歳。やはりこの映画でハリウッドデビューを果たした。
灼熱の太陽のもと、真っ白な民族衣装のロレンスと、黒ずくめのアリの対比が鮮やかだった。
いくつもの名場面が今も心に残る。
女性が一人も出てこない(その他大勢で女性看護師が登場したりはしてたが)。しかし、砂漠の風景が名女優の妖艶な姿以上に美しい。
戦場に取材にやって来たアメリカ人記者がロレンスにインタビューし、「砂漠のどこがいいのか?」と聞いたときのロレンスの答えがいい。
「清潔だからだ」
史実のロレンスや、イギリスが中東で果たした役割にはいろいろ問題はあるが(何しろ当時のイギリスの“三枚舌外交”の結果、第二次世界大戦後のパレスチナ問題や、不自然な国境の分断によるクルド人問題などが起こってしまった)、映画の最後のほうではそうした誤りを暗に示唆するようなシーンもあったので多少は許していいだろう。
ちなみに原作となったロレンスの著書「知恵の七柱」に書かれたゲリラ戦についての記述は、ベトナム戦争時に北ベトナム軍や南ベトナム解放民族戦線の人たちに戦術書として愛読されたとか。