善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「深夜の告白」

フランス・ボルドーの赤ワイン「シャトー・ローラン・ラ・ギャルド・トラディション(ROLAND LA GARDE TRADITION)2014」f:id:macchi105:20200517112117j:plain

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フランス・ボルドーのジロンド河を挟んでサンジュリアンの対岸に位置するサン・スーラン・ド・キュルサックにあるシャトー・ローラン・ラ・ギャルド

ヴィニュロン(ブドウを育て、ワインをつくる人)である現当主は、父の代からの自然農法を受け継ぎ、化学除草剤などは使っていないという。

メルロー80%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%。

 

ついでにその何日か前に飲んだのは、チリのー赤ワイン「エノテカ カベルネ・ソーヴィニヨン2018」

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チリのワイナリー、モンテス社が日本のワイン商社エノテカのためにセレクトしたワインだとか。飲みやすいワイン。

 

ワインの友で観たのはNHKBSで放送していたアメリカ映画「深夜の告白」。

1944年の映画。

原題「Double Indemnity」

監督ビリー・ワイルダー、脚本ビリー・ワイルダーレイモンド・チャンドラー、出演バーバラ・スタンウィック、フレッド・マクマレイ、エドワード・G・ロビンソンほか。

 

保険会社の営業マン、ネフ(フレッド・マクマレイ)は自動車保険の更新に出向いた家で美しい後妻フィリス(バーバラ・スタンウィック)と出会う。彼女は夫に知られずに傷害保険をかけたがっていたが、犯罪の匂いを感じたネフはそれを拒否。だが彼女の魅力に抗しきれないネフは、倍額保険を手に入れるための完全犯罪を考えつく……。

 

原題の「Double Indemnity」は「(災害死亡時などの)倍額支払い」の意味か。

日本の保険でも、契約日から1年6か月を経過後、不慮の事故によって亡くなったりしたとき倍額を支払う特約がある。新型コロナウイルス感染症での死亡の場合も同じ。

 

男を色香で手玉に取るバーバラ・スタンウィックの悪女ぶりがスゴイ。

そして、根はまじめそうなのに彼女の色香に惑わされて破滅へと向かうフレッド・マクマレイ、執拗な調査で結果的に彼らの犯罪を暴いてしまうエドワード・G・ロビンソンのシブい演技。

そういえばフレッド・マクマレイはのちに日本でも放送されたテレビの「パパ大好き」シリーズで典型的なアメリカのよき父親役をやってたし、エドワード・G・ロビンソンスティーブ・マックイーン主演の「シンシナティ・キッド」でも老練なポーカー・プレーヤー役でマックイーンを追い詰めていた。

 

この映画がつくられた1944年といえば第二次世界大戦の末期。そのころの日本でつくられた映画といえば戦意高揚ものばかりで、妻が夫を殺す犯罪に走る映画なんてとても考えられなかっただろう。

実際、稲垣浩監督の「無法松の一生」は1943年につくられたが、人力車夫・松五郎が大尉夫人に密かな愛情を告白するシーンでさえ「帝国軍人の妻に恋慕の思いを抱くなんてもってのほか」というので内務省の検閲でカットされている(戦後もGHQによって一部カットされているが、それは逆に「封建的」とされたシーンだった)。

この違いが感慨深い。