善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「我等の生涯の最良の年」他

チリの赤ワイン「マプ・レゼルヴァ・カベルネ・ソーヴィニヨン(MAPU RESERVA CABERNET SAUVIGNON)2019」

(写真はこのあと肉料理)f:id:macchi105:20210815075330j:plain

ボルドーを代表するワインメーカー、ロスチャイルド社がチリで手がけるワイン。

日中はさんさんと降り注ぐ日光と、夜間には冷たい空気がアンデス山脈から吹き降りるセントラル・ヴァレーで栽培されたカベルネ・ソーヴィニヨン100%。

 

ワインの友で観たのは、NHKBSで放送していたアメリカ映画「我等の生涯の最良の年」

1946年の作品。

原題「THE BEST YEARS OF OUR LIVES」

監督ウィリアム・ワイラー、出演ダナ・アンドリュースフレデリック・マーチ、ハロルド・ラッセル、テレサ・ライトほか。

 

アカデミー作品賞・監督賞をはじめ7部門を受賞。監督のウィリアム・ワイラーはその後、「ローマの休日」「大いなる西部」「ベンイハー」なども監督。

 

第二次世界大戦が終り、たまたま同じ飛行機に乗り合わせた3人の兵士が、同じ故郷ブーン・シティに帰ってきた。中年の歩兵軍曹アル(フレデリック・マーチ)は銀行員で、復員後は何不自由ない暮らしをしているが家族の変化に戸惑っている。飛行大尉のフレッド(ダナ・アンドリュース)は、戦時中のトラウマに悩まされ、愛のない夫婦間系にも嫌気がさしている。そして、両腕を失った若き水兵ホーマー(ハロルド・ラッセル)は、障害を負ったことから恋人に心を閉ざしている。

この3人が、戦争によって心も体も傷つき、苦悩しながらも、家族や恋人に支えられて社会に復帰しようと懸命に生きる姿を描く。

 

いかにも戦争直後らしい映画。こんなシーンがあった。終戦時は日本にいたらしい父親のアルが、日本を「ジャップ」と呼び、高校生の息子に誇らしげに戦利品をみやげとして渡す。それは日本刀と、寄せ書きがしてある日の丸の旗だった。受け取った息子はさめた顔で「放射能が広島・長崎に与えた影響はどうだったんだろう? 学校の物理の先生が、レーダーやミサイルに原子力が結びつけば悲劇になるから人類は共存すべきだといってたよ」と語る。

 

両手とも鉤型の鉄製義手という姿の水兵ホーマーを演じていたハロルド・ラッセルは、演技でああいう恰好をしているのかと思ったら、彼自身が両手を失った障害者だった。戦時中、陸軍にいて事故で両手を失ったという。

映画では、義手を上手に使ってタバコの火をつけたり、コップの水を飲んだりしていたが、演技ではなく、生きるために身につけたものだった。

 

ついでにその前に観た映画。

民放テレビで放送していたアメリカ映画「トレーニング デイ

2001年の作品。

監督アントワーン・フークア、出演デンゼル・ワシントンイーサン・ホーク、スコット・グレンほか。

 

新人刑事の最初の訓練日(トレーニングデイ)の1日を描いたサスペンスアクション。

ロサンゼルス市警の麻薬取締課に配属となった新人刑事ジェイク(イーサン・ホーク)は、ベテラン刑事のアロンソデンゼル・ワシントン)とコンビを組み、麻薬捜査のイロハを教え込まれることになったが、アロンソは数々の事件を解決し、麻薬に絡むあらゆることを熟知している伝説的カリスマ刑事だった。

ところが、ジェイクが目にしたのは、犯罪摘発のためにはいともたやすく自ら法を犯すアロンソの姿だった。正義感の強いジェイクが戸惑いを募らせる中、アロンソの行動はますますエスカレートしていき・・・。

 

ロサンゼルスという都市名はスペイン語で「天使たちの街」という意味だそうだが、実際には「ギャングの街」としても有名だった。本作の撮影はセットではなく、実際にロサンゼルスでも犯罪多発地帯として知られる地域で行われた。当初、スタッフの安全が保証できないという理由から一部地域でのロケは不可能とされたが、「ありのままの真実を伝えてほしい」という住民たちからの強い要望でロケが実現したという。本物のギャングも撮影に協力したのだとか。

 

監督は当時35歳で新進気鋭、アフリカ系のアントワーン・フークアデンゼル・ワシントンアフリカ系アメリカ人としてはシドニー・ポワチエ以来2人目となるアカデミー主演男優賞を受賞したが、警官の立場を利用して麻薬密売人やギャングを威圧して私腹を肥やしているワルの役。何で“悪徳刑事”にアカデミー賞?とも思ったが、汚職、麻薬の常用、横領、過剰暴力や証拠捏造による不当逮捕といったロス市警の腐敗は以前から問題になっていて、その実相を描いたということで、デンゼル・ワシントンの演技はアカデミー賞に値したのだろう。