善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

クラシックは脳ミソの洗濯

おとといの5日は東京で梅雨入り。きのう6日は種まきのころの「芒種」で、朝から大雨。
そんな雨の中、夜は銀座のシャネル・ネクサスホールで「ヤング・コンサート・アーティスツ・フェスティバルウィーク2014」(12日までで、6日が初日)。

アメリカの非営利団体「ヤング・コンサート・アーティスツ(YCA)」とシャネル・ネクサスホールとのコラボによる音楽フェスティバルで、今回で9回目。ネクサスホールの10周年でもあるというので、若手だけでなく1回目の出演者も顔を揃えたという。

曲目と演奏者は次の通り。

モーツァルトクラリネットヴィオラとピアノのための三重奏曲 (ケーゲルシュタット)K. 498」

ホセ・フランク=バイェステール(クラリネット
トビー・アペル(ヴィオラ
パーヴァリ・ユンパネン(ピアノ)

メシアン「世の終わりのための四重奏曲 第3楽章 鳥たちの深淵」

ホセ フランク=バイェステール(クラリネット

リスト「ハンガリー狂詩曲 第6番 変ニ長調

ルイ・シュヴィッツゲーベル(ピアノ)

ベートーヴェン「弦楽五重奏曲 ハ長調 作品29」

ベラ・フリストヴァ(ヴァイオリン)
名倉淑子(ヴァイオリン)
トビー・アペル(ヴィオラ
大山平一郎(ヴィオラ
アレクサンドル・ブズロフ(チェロ)

今回は各日のプログラムにフランス人作曲家の作品が演奏されるというので、1日目はメシアン
彼は第2次大戦中ドイツ軍の捕虜となり、同じ収容所にクラリネット奏者などの演奏家がいて、彼らのために作った作品。 
ヨハネの黙示録」に想を得て作曲したもので、ヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノの4つの楽器の組み合わせによる独奏と三重奏で構成され、第3楽章はクラリネットの独奏。

まるで天の声のような重い響きだった。

ところで、1曲目にクラリネット奏者は譜面台にiPadかスマホみたいなのを置いて演奏していた。今や譜面も様変わり。時代の流れか。

きのう一番感動したのはベートーヴェンの「弦楽五重奏曲」。

普通、弦楽曲というとヴァイオリン2、ビィオラ、チェロ各1の四重奏が主で、ヴィオラを1本加えた弦楽五重奏はあまり聞く機会はない。
しかし、バロック期には五重奏はとてもポピュラーで、ボッケリーニは113曲もの五重奏曲を書いていたという。しかし、モーツァルトは6曲、ハイドンは0曲で、ベートーヴェンはわずかにこの1曲。

彼はこの曲を、交響曲第一番と第二番を作曲する合間の1801年に書いたという。

どの楽章も美しい響き。特に第2楽章はうっとりする。ヴィオラが1つ多いだけで、これほどの豊かな響き。
ヴァイオリンのベラ・フリストヴァが凛(りん)としてカッコイイ。

第4楽章はドラマチックで、それぞれの楽器がぶつかり合っているようだ。

終演後はシャンパンのサービス。オープニングだからか?

普段はテレビやパソコンの音ばかりで、あまり聞くことのないクラシックをナマで聞くと、何だが脳ミソをジャブジャブと洗濯をしているようで、スッキリとした気分になる。