善福寺公園めぐり

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歌舞伎座さよなら公演「御名残三月大歌舞伎」

歌舞伎座さよなら公演「御名残三月大歌舞伎」を観る(23日の第1部)。
それにしても「加茂堤」が30分、休憩30分で楼門五三桐(さんもんごさんのきり)が15分、また30分休んで女暫(おんなしばらく)が1時間。上演時間1時間45分、休憩も負けじに1時間で1等席の料金1万5千円は高いが、歌舞伎座最後の御祝儀ということで許すとしようか。

でも、どこかのどかで、ほほえましい感じのする「加茂堤」、これぞ歌舞伎の様式美・色彩美の極致といえる「楼門五三桐」、オチャメなところもあり、なおかつ歌舞伎らしい祝祭劇っぽい雰囲気の「女暫」という組み合せは、なかなかの妙、と感じた。

「楼門五三桐」は石川五右衛門吉右衛門、真柴久吉が菊五郎。幕が開くと浅葱幕があらわれ、それを振り落とすとサクラ満開、春らんまんの南禅寺山門の上で五右衛門がたばこをプカリ。そして有名なセリフ「絶景かな、絶景かな・・・」。
やがて山門がせり上がると、登場したのが巡礼姿の真柴久吉。ここで「石川や浜の真砂は尽くるとも・・」のまたまた有名なセリフ。
久吉に気づいた五右衛門が小柄を投げつけると、手に持っていたひしゃくで受け止め、「巡礼にご報謝」と久吉。門の上と下で、互いににらみ合って幕。
この「楼門五三桐」、あまりにも有名な演目だからしょっちゅうやってるかと思ったら意外とやってない。戦後の上演は今回も含めてたったの24回。「しらざぁいって聞かせやしょう」のセリフで知られる「弁天娘女男白浪(白浪五人男)」が107回も上演しているのと比べると、大変な違いだ。見せ場となる「山門」が15分と短くて中途半端だからだろうか。歌舞伎座での上演は平成11年以来というから10年ぶり。しかも吉右衛門は初役、菊五郎は2度目という。ご両人ともさすがに存在感がにじみ出てカッコいい。眼福でした。

「女暫」は最後の巴御前玉三郎)と舞台番(吉右衛門)のかけ合いがおもしろかった。ちょうど花道にかかるあたりでの芝居で、舞台番が巴御前に六法の踏み方を教えるところ。たまたま席がすぐ前だったので、2人のやりとりを目と鼻の先で堪能できた。芝居はかぶりつきが一番、と思っている筆者には楽しいひとときだった。
ひいきにしている菊之助はだいぶ芝居がうまくなり、花道の引っ込みも上々。たっぷり見られて満足。
杵屋直吉の唄が、のびのびと響いていてよかった。まだ若手というが今後が楽しみ。
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