善福寺公園めぐり

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初芝居は初春大歌舞伎

初芝居は松の内にと7日に歌舞伎座へ。2日から始まった「壽 初春大歌舞伎」の第2部を観る。

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コロナ対策のため1演目のみで四部制だったのが、1月からは三部制(各部総入れ替え、幕間あり、2演目)となったが、席は相変わらず前後左右1席ずつ開けて座る。歌舞伎の客は高齢者が多いから松竹もかなり配慮してるのだろう。

 

演目は「坂田藤十郎を偲んで 夕霧名残の正月(ゆうぎりなごりのしょうがつ) 由縁の月」 と「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら) 祇園一力茶屋の場」。f:id:macchi105:20210108113810j:plain

 

「夕霧名残の正月」では 初代藤十郎が最初に演じ、昨年亡くなった四代目藤十郎が復活上演してたびたび演じた藤屋伊左衛門を鴈治郎、その思い人である扇屋夕霧を扇雀と、2人の息子が演じる。

恋人の死を知り、悲しむ伊左衛門のもとに、いつしか夕霧の幻が現れ、二人は懐かしげに舞い始める。

 

続いては「仮名手本忠臣蔵」より「祇園一力茶屋の場」。

吉右衛門の大星由良之助、雀右衛門の遊女おかる、梅玉の寺岡平右衛門。

遊びにふける姿を見せつつ、心は仇討ちへと向かう由良之助の苦悩、身を売って支えた夫・勘平の死を知ったおかるの悲しみ、義士の仲間に加わるため妹おかるを手にかける覚悟を決めた平右衛門の忠義心。三人それぞれの思いが交錯し、観る者を引き込む。

 

この場の見どころは、吉右衛門の由良之助はもちろん絶品だが、やはり平右衛門とおかるのきょうだいの葛藤。だから1時間以内におさめる必要があるためか前半部分をかなりカットしている。

 

2016年11月の国立劇場吉右衛門の由良之助、雀右衛門のおかる、又五郎の平右衛門、2018年2月の歌舞伎座では白鸚の由良之助、玉三郎のおかる、仁左衛門の平右衛門を見ているが、夫を失ったおかるの絶望的な悲しみに、見ているこちらもついついもらい泣きしてしまう。

一人の男を一途に愛する女の気持ちが少しはわかるのだろうか。

梅玉の平右衛門は人柄が出るのかどこか上品な感じもするが、若々しい。雀右衛門のおかるが、かわいらしくて色っぽくて円熟した演技で胸に迫る。