善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

秀山祭九月大歌舞伎

歌舞伎座で「秀山祭九月大歌舞伎」夜の部を観る。
おととい文楽、きのう歌舞伎と観劇三昧。

演目は、吉右衛門歌六雀右衛門又五郎錦之助東蔵左團次など出演の「ひらかな盛衰記 逆櫓」、染五郎雀右衛門錦之助魁春など出演、吉右衛門監修の「再桜遇清水(さいかいざくらみそめのきよみず) 桜にまよふ破戒清玄 新清水花見の場より六浦庵室の場まで」。
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吉右衛門が「逆櫓」の松右衛門を演じるのは2008年(平成20年)の秀山祭以来という。
「権四郎、頭が高い」からの見得や立ち回りの美しさ。まさに錦絵を見るようだった。

染五郎主演の「再桜遇清水」が意外とおもしろかった。
破戒僧清玄と奴浪平の2役の染五郎が八面六臂の活躍。
話自体は許せない話で、お姫さまのワガママ(好いた男と会いたいばっかりに、大事な奉納行事の最中に奉納の役目を勤めている男と密会して、それがバレて罪を寺の住職になすり付ける)が物語の発端。
冤罪を押しつけられた住職が染五郎。しかし、彼はお姫さまを一目見て、その色香に迷ってしまったので「ままよ」と自ら罪を引っ被って破戒僧に身を落とす。
それでもお姫さまに恋い焦がれて、ついには酒乱になって人殺しまでして、最後は自分も殺されてしまってウラメシヤと幽霊となってあらわれる。何とも哀れな男の末路。どこか三枚目的な感じのする染五郎にピッタリの役だった。
しかしそこは来年幸四郎を名乗るだけあって、最後の破れかぶれのところは鬼気迫るものがあった。

早変わりや傘を使った立ち回り、焼酎火の人魂など、楽しませる工夫が随所にあった。脚本を書いた松貫四こと吉右衛門の工夫だろう。
最後のほうでの花道での演技のとき、舞台に三味線を持った清元だったかの奏者が出てきたとき、白地に水色の雲を配したような浅黄幕が下がっていたが、あれは奏者の出入りを隠すためのもので、霞みたいに見えるから「霞幕」というんだそうだ。