善福寺公園めぐり

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通し狂言 増補双級巴―石川五右衛門―

国立劇場12月公演「通し狂言 増補双級巴(ぞうほふたつどもえ)―石川五右衛門―」を観る。
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12時開演で終わるのが午後4時すぎ。平日の昼間だったが客席は1階席満員、2階席もほぼ埋まっていて人気のほどがうかがわれる。


出演は石川五右衛門中村吉右衛門、壬生村次左衛門・中村歌六、三好修理太夫長慶・中村又五郎、此下藤吉郎久吉後ニ真柴筑前守久吉・尾上菊之助、将軍足利義輝中村錦之助、傾城芙蓉/五右衛門女房おたき・中村雀右衛門、義輝御台所綾の台・中村東蔵ほか。

天下の大泥棒、石川五右衛門にまつわる話はたくさんあるが、数ある俗説や伝説を題材につくられた複数の作品をつなぎ合わせ、人間ドラマに仕立て上げたのが本作。
文久元年(1861)、江戸守田座で初演。つづら抜けの宙乗りが好評を博したという。

大胆にも公家に化けて足利御所へ乗り込んだ五右衛門(吉右衛門)が久吉(菊之助)と出会うが、実は2人は幼馴染みで、寝転んで頬杖をついて話す場面とか、呉羽中納言役の桂三が五右衛門の手下に身ぐるみはがれて、長~いフンドシ一丁で花道を下がるシーン(実際は上に肌着を着ていた。素っ裸を期待していたんだが・・・)、巡礼に扮した久吉がお尋ね者の五右衛門と相対する場面は「金門五山桐」の名場面のパロディーだったりと、随所に見どころがあった。

吉右衛門がつづらを背負って宙乗りするというので「大丈夫だろうか?」ちょっと心配していたが、イスみたいのに座っての宙乗りで、あれならラクチンだ。

最後のほうでは泣かせるシーンもあり、“人間・五右衛門”の苦悩が描かれ、女房役の雀右衛門の絶命寸前の切々としたくどきが泣かせてくれる。

前から2列目の席だったので役者を間近で見られたし、タレ目がかわいくて贔屓にしている米吉も娘小冬の役で出ていて、楽しい時間をすごせた。