善福寺公園めぐり

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映画「新聞記者」&七月大歌舞伎・海老蔵13役早替わり

おとといは新宿ピカデリーで映画「新聞記者」を、きのうは歌舞伎座で七月大歌舞伎夜の部「通し狂言 星合世(ほしあわせ)十三團」を観る。
 
「新聞記者」は東京新聞の望月衣塑子記者の同名の著書を原案に、真実を追おうとする若き新聞記者と内閣情報調査室(内調)の官僚との対峙と葛藤を描いた社会派サスペンス。
監督は藤井道人、出演は韓国の女優シム・ウンギョン、松坂桃李ほか。
 
“政治”という重いテーマ、しかも今の安倍政権の陰湿な権謀術策をあぶり出すような内容の映画。新聞、テレビを始めとして大手メディアがこぞって政権になびいている中で、よくぞこれだけの内容の映画がつくられ、公開できたと思うほどで、まずその勇気に拍手を送りたいが、平日にかかわらず客席も満員だった。
だれだって今の政治がどこかおかしいと気づいていて、それなのになぜ問題にならないんだろうかと不思議に思っていて、その答えのせめて糸口でも見つけたいと思っているのだろう。
 
たぶんいろいろ圧力があっただろうが、「おもしろくていい映画をつくろう」と出演した松坂桃李始め日本の俳優陣、カネを出したイオン、エライね!
 
韓国の女優シム・ウンギョンがすばらしかった。真実を追い求めようとする彼女のピュアな瞳が強く印象に残った。
正義と保身の間でゆれるエリート官僚役の松坂桃李も熱演していた。
 
翌日の歌舞伎座七月大歌舞伎は一転して、華やかなエンターティメントを堪能。
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義経千本桜」の名場面を4時半から10時近くまでの5時間半に凝縮し、しかも主要な役どころの13役を海老蔵が早替わりで演じ、宙乗り2回あるという物凄い演出。
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「すし屋」の場面では同時に登場するいがみの権太と父親の弥左衛門が瞬時に入れ替わり、もうヤンヤの拍手。
海老蔵の権太はどこか仁左衛門ふうでもあった。

「渡海屋」の幕切れで亡霊となった知盛が宙乗りで空に昇っていくシーンでは、ホントに空中を歩いているようだった。

弁慶が十数人の捕り方の首を一気に切り落とすシーンは、まさしく成田屋らしく極彩色で荒事の極地。

最後がまた華やかで、桜吹雪が舞台から客席から劇場中を舞っていて、都会の真ん中で別世界にいるようだった。
 
ところで、9月の秀山祭で仁左衛門が「勧進帳」の弁慶をやるとのニュースをキャッチ!
前々から熱望していた仁左衛門の弁慶。これは見にいかなくちゃ!