善福寺公園めぐり

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待ってました!仁左衛門の弁慶 秀山祭九月大歌舞伎

歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」夜の部を観る。

演目は「菅原伝授手習鑑 寺子屋」「勧進帳」「松浦の太鼓」。f:id:macchi105:20190912113744j:plain

お目当ては「勧進帳」で弁慶をつとめる仁左衛門

去年の9月、仁左衛門助六を見て以来、「次はぜひとも仁左衛門の弁慶を見たい!」と、ずっと仁左衛門が弁慶をやる日を心待ちにしていて、「しかし、出ずっぱりで体力も使う弁慶は、年齢的にもムリかな?」と思っていたら、1年後の九月大歌舞伎で実現した。

仁左衛門の弁慶は11年ぶりとのことだそうで、これで最後かもしれない。

さすがに毎日やるのは大変みたいで、仁左衛門は奇数日のみ(偶数日は幸四郎)で中1日の休み。

 

花道から仁左衛門の弁慶が出てきたところで、思わず「待ってました!」と叫んでしまった。あー恥ずかしい。

渾身の弁慶で、豪快であると同時にどこか気品が漂うのは仁左衛門ゆえか。

義経の孝太郎、義経の四天王の1人・駿河次郎の千之助、親子三代の出演でもあった。

 

親子三代といえば「勧進帳」の前の「寺子屋」も、松王丸の吉右衛門、松王丸の妻・千代の菊之助、管秀才の丑之助と、こちらも親子三代の出演。

吉右衛門のうまさはいうまでもないが、今回は千代の菊之助がとてもよかった。

息子を死なせてしまった母の悲しみ。

義太夫の三味線と語りに合わせて、嘆き悲しむ“くどき”の場面が涙を誘う。

太夫人間国宝になった葵太夫

菊之助のしぐさは義太夫とぴったりと合っていて、文楽の人形ぶりをも思わせた。

つまり、ただ「悲しい悲しい」と感情をぶつけるのではなく、形の美しさを表現することで、より悲しみを際立たせているのだ。

 

「松浦の太鼓」は忠臣蔵の外伝のひとつ。

寺子屋」「勧進帳」と力作が続いて、最後の付け足しみたいであまり期待していなかったが、笑いもあってなかなかおもしろかった。

この舞台、三世中村歌六百回忌追善狂言であり、主役の五代目歌六に息子の米吉、歌六の弟の又五郎又五郎の息子の歌昇、種之助と歌六家の役者が揃って出ていた。

 

芝居がハネたあとは、歌舞伎の余韻さめやらず、近くの「和もと」でイッパイ。

何年ぶりかの訪問だったが、いつ行ってもご主人夫婦が温かく迎えてくれて、心なごむ店だ。チェーン店ばかりの中でホッと安心できる店。

サッポロラガービールのあとは日本酒。長野・飯山の「北光」という酒。f:id:macchi105:20190912113918j:plain

「聞いたことのない酒だ」というと、流通しているのはほとんど地元周辺で、まだ東京には出回っていないという。杜氏はまだ30代の若さだとか。

口あたりがよくておいしい酒だ。

 

つまみは、まずはお通し。いろいろあって楽しい。f:id:macchi105:20190912114002j:plain

刺身盛り合わせ。

アズキハタが歯ごたえがあって美味。f:id:macchi105:20190912114034j:plain

ホタテサラダ。

ホタテの刺身が入ってるかと思ったが、ホタテの佃煮だという。

これが酒に合う。f:id:macchi105:20190912114103j:plain

白魚の唐揚げ。1匹1匹きれいに揚がっていて、口の中に入れると途端にとろける。

これも酒にピッタリ。f:id:macchi105:20190912114123j:plain

今夜もご機嫌で帰還。