善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「帰ってきたヒトラー」

チリの赤ワイン「サンタ・ディグナ・カベルネ・ソーヴィニヨン・レゼルヴァ(SANTA DIGNA CABERNET SAUVIGNON RESERVA)2016」
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サンタ・ディグナは自然環境への配慮やワイン造りに携わる人々を大切にする取り組みが評価され「フェアトレード認証」というのを取得したシリーズ。
フェアトレードとは栽培農家とのフェアな取引を行いマーケットよりも高い買値を保証したり、労働者への公正な待遇を守るため差別の撤廃、児童労働の撤廃、法令の徹底、公正な給与など、労働環境をよくするための取り組みをいうんだそうだ。

チリのセントラル・ヴァレーで造られるブドウを使用。フレンチオーク主体のオーク樽で6カ月間熟成させたのち瓶詰めされたワイン。

ついでにその前に飲んだワイン。
フランス・ラングドックの赤ワイン「カデ・ドック・ピノ・ノワール(CADET DOC PINOT NOIR)2016」
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名門バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社が手がけるワイン。
ときどき飲むが、安定した味。

さらについでに広島の酒、「華鳩 初呑み切り 吟のさと」。
ラベルがかわいかったので紹介。
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ワインの友で観たのはBSで放送されていたドイツ映画「帰ってきたヒトラー
2015年の作品。原題「ER IST WIEDER DA/LOOK WHO'S BACK」
監督ダーヴィト・ヴネント。

ティムール・ヴェルメシュのベストセラー小説を実写化した映画。
ナチス・ドイツを率いたアドルフ・ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)は、死んだはずだったのがなぜか現代によみがえる。
最初はものまね芸人かコスプレ男と勘違いされ、テレビに出演したりするが、ナチス・ドイツ復活の好機ととらえたヒトラーは、テレビやYouTubeFacebookなどをプロパガンダに使って弁舌巧みに人々を虜にしていく。
国民の政治不信をうまく利用し、耳ざわりよい言葉でマスコミの低俗さや各政党を糾弾して支持を広げていき、21世紀の現代人は知らず知らずのうちにヒトラーに扇動されていくのだが、ヒトラーの本性を暴いたのは、認知症を患いながらも、戦争を体験した老女の一言だった。
彼女はヒトラーを見た途端、怒りと恐怖で叫ぶのだ。
「この男は家族をガス室送りにした。だまされないわ、この極悪人!」

この映画を見て、先日の朝日新聞(10月4日付夕刊)に載っていたエコノミストの浜矩子さんのインタビューを思い出した。
浜さんはエコノミストの立場から安倍政権を批判する自らの活動について、「荒れ野で叫ぶ声」でありたいと述べる。
「荒れ野で叫ぶ声」とは聖書にある真の予言者の言葉だそうで、「城壁の内でぬくぬくと生活する人たちに『そこは危ないよ』と発する」言葉だという。
ニセの予言者は言ってほしいことを言い、敵がだれかを教え、人を引きつける。しかし、耳に痛いことを言うのが真の予言者だという。
そして、国を意のままに操ったヒトラーなど、歴史を見れば甘言が招いた悲劇は多い、という。
そういえば、アベノミクスとか一億総活躍社会だとか、耳ざわりのいい言葉を国民に吹き込み、その実、日本を戦前の大日本帝国に引き戻そうとしているのが今の政権。
映画のヒトラーとダブッて見えてしまった。