善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

小三治独演会

日本橋三井ホールで「柳家小三治独演会」を聴く。
日本橋再生計画で7、8年前に建てられたビルの5階にあるのが日本橋三井ホール
会場は満員。みなさん小三治ファンなのだろう、中年のオジサマ・オバサマたちが多い。

独演会といってもまずは“前座”からというわけで、三番弟子の柳家はん治が「子ほめ」。
続いて子三治の「野ざらし」。
仲入りのあと再び小三治が出てきてサテ何をやるのかなと思ったら、マクラがやけに長い。結局、エンエンとマクラを1時間ぐらいやっていたが、これがおもしろかった。
そもそも落語は小話から始まったというところからはじまり、「隣の空き地に囲いができたね」「ヘー」という何でない話こそ落語の原点だという。
そのやりとりには「景色」があり、そこにこそ落語の醍醐味が凝縮しているという。

その後、話があっち行きこっち行きとなり、今の安倍政権批判にまで及んだ。
戦争まっしぐらの安保法制とか、政権を私物化するモリ・カケ問題、原発推進など、安倍首相のやってることに小三治は怒り心頭のようで、会場からはヤンヤの拍手。

シンミリする話もあって、アニメ映画の監督・高畑勲氏は小三治のファンだったそうで、小三治は毎年春にジブリの関係者を前に落語を語っていて、高畑氏も聴きに来ていた。今年も3月だったか、ジブリに落語を語りに出かけたが、いつもは前の方にいる高畑氏の姿がない。実は、会場の一番後ろにベッドに横たわったまま聴いていたのだという。それからしばらくして高畑氏は亡くなった。
その高畑氏が監督をした「‎火垂るの墓」の話になって、それにつけてもと小三治の政権批判はまた舌鋒鋭くなる。

そのあとは「鞍馬天狗」の作者、大佛次郎の話から「パリ燃ゆ」「天皇の世紀」の話になって、“日本のお茶が世界を制する”に及んで、ようやく落語が始まって「千早振る」。

大笑いした午後だった。