善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+「プレイス・イン・ザ・ハート」

スペインの赤ワイン「サングレ・デ・トロ(SANGRE DE TORO)2015」
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スペインの名門ワイナリー、トーレスのワイン。
表のラベルより裏面がおもしろかったのでこちらを紹介。

アッサリ系でスルスルと飲めてしまう。

ワインの友で観たのは、NHKBSで放送していた「プレイス・イン・ザ・ハート」。
原題も「Places in the Heart」。「心の中の場所」という意味か。
1984年製作のアメリカ映画。
監督ロバート・ベントン、出演サリー・フィールドダニー・グローヴァージョン・マルコヴィッチほか。

なかなか感動的な映画だった。
主婦役をした主演のサリー・フィールドが夫亡きあとの家族を守るために奮闘する姿がけなげで見ていて応援したくなっちゃうし、ダニー・グローバーも好演。何よりこれが映画初出演というジョン・マルコヴィッチの存在感がハンパない。
ただ、エド・ハリスも出演しているのだが、彼をめぐる不倫話に違和感を抱いた。必要のないエピソードに思えたのだが・・・。

それはともかく、この映画を語るにはあらすじを紹介しなくてはならない。思い出す限り、映画のあらすじを書く。(不倫話は割愛)

まだまだ人種差別がはびこる1935年、テキサス州の田舎町。保安官を夫に持つエドナ・スポルディングサリー・フィールド)は、夫が酔っぱらった黒人少年の発砲で死亡し、未亡人となる。黒人少年はリンチで殺される。
2人の子どもを抱え、銀行残高はわずかしかなく、多額の借金返済を迫られるエドナ。銀行の担当者は家を売ることを勧めるが、彼女は「何とか自分で稼いで返済する」と断る。
そんなとき、流れ者らしい黒人のモーゼス(ダニー・グローバー)がやってきて仕事をくれと頼み込むが、食事を与えただけで帰ってもらう。そのときモーゼスは、家の前の空き地を畑にして、そこで綿花を栽培してはどうかとアドバイスする。
このときモーゼスは彼女が目を離したスキに銀のスプーンをいくつか盗んでいく。(このあたりジャンバルジャンみたいな展開)
その夜、保安官に連れられたモーゼスが再びエレナの家にやってきて、保安官は「この銀器はこの家で盗まれたものか?」と聞く。
エレナは、「いえ、この人はうちの雇い人です」といって彼を救う。そして、モーゼスのアドバイス通り、家族を守るため、綿花栽培を始めることにし、ホントに彼を雇うことにする。

そんなある日、銀行の担当者がやってきて、少しでも借金返済の足しにするため、自分の弟を下宿させてくれないかといってくる。その弟とは、第一次大戦で負傷し、目が見なくなったウイル(ジョン・マルコヴィッチ)だった。
ウィルとは最初ギクシャクしていたが、やがて信頼関係を築いていく。
夏になって巨大な竜巻に襲われ、町は甚大な被害を受けるが、エドナたちは何とか助かり、家も無事だった。

いよいよ秋、綿花の収穫の時期を迎えるが、世の中は不況で、綿花の価格も下落。いくら収穫しても借金の返済額には足らない。ところが、収穫一番乗りを果たすと報奨金をもらえるというので、家族全員での不眠不休の収穫が始まる。
目の見えないウィルは作業には協力できない代わりに料理作りを担当する。
そしてついに、出荷の日の朝が明けると、エドナは一番乗りを果たす。

借金も返せて危機を脱し、ホッとするエドナたち。
エドナが台所で息子の靴を直していると、ウィルがやってきて「お茶をいただけますか?」と頼む。「いいわよ」とエドナが用意していると、ウィルが質問する。このシーンがとてもいい。
「あなたの顔立ちを知りたい」
目の見えないウィルは、家族のためにがんばるエドナがどんな人なのか知りたいのだ。
エドナは戸惑いながらも答える。
「髪はうしろで束ねてるの。目は茶色。母の青い目が欲しかったけどそれは姉が受け継いだわ。前歯は反っ歯。小さいときいつも指をしゃぶっていたせいね。美人じゃない。でも健康よ」
ウィルは穏やかに微笑みながら聞いている。

ところが収穫後のダンスパーティーの夜、モーゼスはウィルと家で留守番をしていたが、彼の活躍を妬んだのだろう、白い覆面をしたKKKの一団がモーゼスを襲い、町を出ていくよう脅迫する。エドナに危害の及ぶことを恐れたモーゼスは、翌朝、町を離れていく決意をする。

朝、旅支度を終えたモーゼスはエドナに子どもたちへのプレゼントを渡す。女の子には彼がつくった人形。息子には魔除けのウサギの脚。そして、「これは奥さんに」と母親の形見の白いハンカチを渡し、去っていく。

そして映画の最後のシーン。
教会で住民たちが集まってミサが開かれている。最前列に座っている人から順番に小さな容器に入った食べ物と飲み物が配られていく。
受け取る人々が次々と写されていく。
エドナと子どもたち、ウィル、そして何とモーゼスの姿。さらには、亡くなったはずのエドナの夫が、自分を撃った黒人少年と仲良く隣り合わせで座っている。
そうあってほしい、いや、そうあるべきだと作者が願ったであろう、幻影の中での結末だった。