5月5日、こどもの日の善福寺公園の朝は快晴。みるみる気温が上昇していく。
大きめのガが葉っぱにとまって逆さになっていた。
地面にとまると枯れ葉と見まがうばかり。
葉っぱの葉脈までくっきり。見事な擬態のワザだ。
それにしても何というガ?
茶褐色地に1本の細い筋模様と一対の小黒班があるシャクガ、エグリヅマエダシャクに似ているが。
ムシヒキアブがジッとしていたのでソーッと近づく。
肉食のアブだけに、獲物に突き刺す太くて痛そうな口吻が伸びている。
緑色の複眼の妖しい輝き。
テントウムシが交尾中。
背中の斑紋は異なっているが、同じナミテントウだろう。
ナミテントウの斑紋は実に多様で、200以上もの異なる斑紋があるといわれる。それなのに、個々のテントウムシの斑紋を決める遺伝子は、パニア(Pannier)とよばれる転写因子をコードする遺伝子たった1個によるものだという。
発見したのは日本の研究者で、基礎生物学研究所の新美輝幸教授らの研究チームだ。
今年も早くもカメムシの仲間のハゴロモの幼虫が這い出してきた。
善福寺公園でよく見るのはアオバハゴロモとベッコウハゴロモだが、いずれもロウ物質からなる白い綿毛をたくさん出して身を包む。それが白い羽衣みたいに見えるというのでこの名がついた。
アオバハゴロモの場合、白い綿みたいので全身を包むが、ベッコウハゴロモは針のような白い毛束を放射状に広げて、まるでタカラジェンヌみたいな姿になる。
まだ体が白いから孵化したばかりだろうか。
下池をめぐっていると、きのうに続きイトトンボ。
下池をめぐり上池に向かっていると、テイカカズラが咲いていた。
つる性の植物で、太い木の幹をつたって上に伸びていき、数mの高さのところで一面に花を咲かせている。
もともとは「マサキノカズラ(真拆葛、柾葛)」と呼ばれ、「古事記」にも登場している。
アマテラスオオミカミが天岩戸にこもったとき、神がかりしたアメノウズメノミコトが舞い踊り、神々の笑いを誘ってアマテラスオオミカミの心を動かして岩戸を開かせたとき、アメノウズメノミコトが髪飾りにしていたのがマサキノカズラだ。
それが何でテイカカズラと呼ばれるようになったかというと、謡曲「定家」に登場して以降といわれる。
謡曲「定家」は15世紀(室町時代)の作とされるから、それ以降か。
式子内親王を愛した藤原定家が彼女の死後も内親王のことを思い続けて、ついにカズラに生まれ変わって彼女の墓にからみついたという伝説をもとにつくられたのが謡曲「定家」で、それからは「テイカカズラ(定家葛)」と呼ばれるようになったんだとか。
しかし、定家の情念が生んだ花にしては、清楚で美しい。
上池に戻ると、ここでも池のほとりでイトトンボが飛んでいた。
とまったところにソーッと近づく。
大きなお目メにおちょぼ口がかわいい。
イトトンボを観察していると、目の前をカワセミが鳴きながら飛んで行って、遠くの対岸にとまった。
むこう向いてるのでメスのヤエちゃんか、オスのマルちゃんかの判別はつかず。