友人に誘われてモルドバ料理 を食べに行く。
場所は東京・葛飾区のJR常磐線・亀有駅近く。駅前には両津勘吉の像。
秋本治の漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の主人公。
亀有駅北口から歩いて5分ほどのところにある「NOROC(ノーロック)というお店。
日本で唯一のモルドバ料理の店だとか。
友人は何度かモルドバに旅行に出かけていて、料理もおいしければ、ワインもおいしかった。その味を日本でも、と探し当てたのがこのお店。
店名の「NOROC」は「幸運」「喝采」「祝福」などの意味があるモルドバの言葉で、グラスを掲げて乾杯するときに使われるという。
オーナーは日本人のご主人とモルドバ人でシェフでもある奥さん。
奥さんは来日して結婚。2人のお子さんにも恵まれたが、日本にモルドバ料理の店がないと知って一念発起、店をオープンさせた。
アットホームな雰囲気に本格的なモルドバの家庭料理とワイン大国のモルドバから仕入れているさまざまな希少ワインを楽しむことができると人気で、われわれが行った日もほぼ満席の盛況だった。
モルドバは1991年、ソ連から独立してできた黒海の北西にある小さな国。
西はルーマニア、北と東と南はウクライナに囲まれていて、首都はキシナウ。
日本の外務省のデータによると、面積は約3万3800㎢で九州よりやや小さめ。人口は約260万人(2021年モルドバ国家統計局。ロシア系住民が入植しロシアが支援する分離独立派が実効支配するトランスニストリア地域の住民を除く)。民族はモルドバ人(ルーマニア系)(75・1%)、ウクライナ人(6・6%)、ロシア人(4・1%)、ガガウス人(トルコ系)(4・6%)ほか(2014年モルドバ国勢調査)。言語はルーマニア語(ロシア語も一般に通用)で、歴史的にはルーマニアの影響が強いみたいだ。
何より驚いたのは、モルドバはワインの国だということだった。
5000年前もからブドウ栽培とワインづくりが始まり、ジョージア(かつてグルジアと呼ばれていた)と並んで世界最古のワイン生産地という。
首都キシナウから南に20km離れたミレスチ・ミーチ村にある村の名前と同じミレスチ・ミーチという国営ワイナリーは、2005年に“世界最大のワイン貯蔵庫”としてギネス世界記録に登録された。
貯蔵開始は1968年。もともと鉱山だった地下空間に、総延長200km、地下30m~85mという巨大ワインセラーがつくられた。
地図を見せてもらったがものすごい広さでまるで迷路みたいだ。
人為的ではなく自然に保たれている温度(12~14℃)と湿度(80~85%)がワインを熟成させるのに適しているというので、英国王室はじめヨーロッパの王室などもここにワインを置いているという。
この日、まずはシャルドネで乾杯。
ミレスチ・ミーチのシャルドネ(MILESTII MICI CHARDONNAY)。
料理はサラダとキノコのマリネ。
ブドウの葉で包んだサルマーレ。
豚肉や野菜、米を、モルドバから取り寄せたブドウの葉で包んでトマトソースでこんがりオーブン焼きしてつくられるモルドバの郷土料理。
上にかかっているのは自家製サワークリーム。
続くワインはピノノワール。
シャトー・ヴァルテリー(CHATEAU VARTELY)
その隣にあるのはミレスチ・ミーチ・ネグレ(NEGRE de MILESTII MICI)。
シャトー・ヴァルテリーは首都キシナウから北へ約45kmに位置するオルヘイ村にあるワイナリー。
モルドヴァの中部と南部に250haのブドウ畑を所有し、自社畑で栽培したブドウは100%手摘み。国際品種を主に土着品種にも力を入れているワイナリーとか。
ミレスチ・ミーチ・ネグレはカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、ピノ・ブランをブレンドブレンドした2011年生産のワイン。ベルベットの味わいの高貴なワインで、このワインの極上のおいしさに驚嘆。たちまちモルドバワインのファンになっちゃった。
ラベルに描かれた海の上を飛ぶ魚の絵がおもしろい。
モッツァレラスティック。
カリカリッとしたジャガイモがおいしいジャレナヤ・カルトシカ。
ジャガイモ、タマネギ、しいたけをスパイスで炒めた料理。
トカナ&ママリーガ。
タマネギの煮汁で豚肉をトウガラシやスパイスで煮込んだ一品(トカナ)にトウモロコシの粉を練ってつくるママリーガ。
ママリーガはモルドバの主食というが、これが実に美味だった。
デザートはパンプキンケーキ。
ケーキを食べながら飲むアルコール度数40度のグラッパがおいしい。
グラッパはマスカット100%でつくられたワインを二重蒸留してつくられるブドウ蒸留酒。
店内の様子。何だか心が和む。
モルドバ旅行から帰る気分で帰還。