善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「ワイルド・ライフ」

アルゼンチンの赤ワイン「ロ・タンゴ・マルベック(LO TENGO MALBEC)2019」f:id:macchi105:20201005154302j:plain

ワイナリーは創業120年のアルゼンチンを代表するボデガ・ノートン

「タンゴ」を踊る美しいラベルで、マルベック使用の柔らかな口当たりの赤。

 

ワインの友というか、ワインを飲んだ日の日曜日昼間、銀座のエルメスビル(銀座メゾンエルメス)10階にあるプライベートシネマ「ル・ステュディオ」でフランス映画「ワイルド・ライフ」を観る。f:id:macchi105:20201005154330j:plain

2014年の作品。

原題:Vie sauvage(英訳するとwild lifeとなる)

監督セドリック・カーン、出演マチュー・カソヴィッツセリーヌ・サレット、ジュール・リトマニック、ロマン・デプレほか。

 

フランスで実際に起きた事件を映画化した作品。

社会から離れて山中でヒッピーのように自給自足しながら子育てすることを決めた夫婦。妻は前夫との間に息子がいて、結婚後2人の息子が生まれた。映画では長男の年齢は不明だったが、次男が7歳、三男が6歳ぐらいだろうか、そのくらいの年齢になって、不自由な暮らしに疲れ、子どもたちの教育とか将来を心配するようになった妻は、夫が出かけた隙に3人の息子を連れて実家に逃げてしまう。

夫はすぐさま3人の息子を連れ戻しに行くが、妻には拒絶され、親権を理由に息子たちとも引き離される。1年後、父親は面会交流を利用して2人の息子だけを1週間の予定で預かるのだが、彼には子どもを妻のもとへ帰す意思などなかった。

警察から誘拐犯として追われることになるが、牧場やコミューンなどを転々としながら逃亡生活を続けて10年が経つ。

2人の息子は18歳と17歳の思春期を迎え、町の若者と交流するうちに新たな価値観が芽生え始める。しかし、頑なに信念を曲げない父親との折り合いは悪くなるばかりで、2人は……。

 

父親とともにヒッピー暮らしをする少年の名前がツァリィとオケサ。オケサって「佐渡おけさ」の「おけさ」のことかと思ったら、もともと両親はインディアン式のヒッピー村で知り合い結婚。生まれた子どもの名前もインディアン風の名前だという。

映画の中で、父親が息子たちと一緒にインディアン風の家をつくるシーンがあった。昔の西部劇に登場するテントみたいな移動式の家で、10数本の木の棒を地面に立てて支柱にし、円錐形にして布を張るのだが、父親のセリフがよかった。

「自然に四角はない。みんな丸いんだ」

なるほどと思ったが、しかし、自然の中での生活は長くは続かない。

まもなく18になろうという息子の1人が町の娘と恋仲になるが、社会とは隔絶した暮らしをしているゆえに結局は失恋してしまう。父親と衝突するようになり、ついには3人の「ワイルド・ライフ」は破局を迎える。

 

家族の絆とか、子どもの権利、社会とは何か、ユーピアっていったい何なの?と考えさせられる映画だった。