アルゼンチンの赤ワイン「ロ・タンゴ・マルベック(LO TENGO MALBEC)2020」
(写真はこのあと牛ステーキ)
創業120年のアルゼンチンを代表するワイナリー、ボデガ・ノートンの赤ワイン。
「タンゴ」を踊るラベルで知られる。
アルゼンチンの代表品種マルベック100%。
適度な酸味、渋み、それに果実味。
ワインの友で観たのはNHKBSで放送していたアメリカ映画「追われる男」。
1955年の作品。
原題「RUN FOR COVER」
監督ニコラス・レイ、
ジェームズ・キャグニー、ヴィヴェカ・リンドフォース、ジョン・デレク、アーネスト・ボーグナインほか。
ギャング映画のスターだったジェームズ・キャグニーが西部劇をやるとこうなる、という映画。
無実の罪で6年間牢にいたマット(ジェームズ・キャグニー)は、新天地を求めて旅をしている途中、孤独な若者デイビー(ジョン・デレク)と出会う。デイビーに子どものころ亡くなった自分の息子の面影を見たマットは、2人でマディソンの町に向かおうとするが、途中、列車強盗に間違われてマディソンの保安官らに襲われる。
デイビーは瀕死の重傷を負い、マットは町に連行されるものの、疑いが晴れて釈放。スウェーデン移民の農場で手当てを受けるデイビーの看病をしたマットは、農場の娘ヘルガ(ヴィヴェカ・リンドフォース)と親しくなる。
町長からの依頼で保安官を引き受けたマットは、脚は完治しないものの回復したデイビーを保安官助手にして町の治安を守ろうとするが、銀行を襲おうと町にやってきたのがモーガン(アーネスト・ボーグナイン)ら無法者の集団だった・・・。
「追われる男」という邦題なので、きっとジェームズ・キャグニーが追われる男になるのだろうと見ていくが、ギャグニーは追われないどころか、追ってばかりいる。
ハテ?と不思議に思って原題を見ると「RUN FOR COVER」となっている。
直訳すれば「逃げ場を求めて走る」とか「急いで避難する」という意味らしく、これでは日本人には意味がわからん、と配給会社の担当者は思ったのか、「追われる男」なんぞというよけいにわけのわからない題になってしまった。
たしかに翻訳というのは、中でも映画のタイトルなどは、文字自体が短くてそのまま日本語に訳しても意味が通じないことも多いだろうから、なかなか難しいのはたしかだろう。
それで思い出したのが、今年の流行語大賞の10選に入った言葉、「ぼったくり男爵」だった。
この言葉は、共同通信の米国特派員だった記者さんがワシントン・ポストに載っていた東京五輪に関するコラムを紹介した際、コラムニストがIOCのバッハ会長のことを「Baron Von Ripper‐off」と呼んだのを「ぼったくり男爵」と訳したのだった。
コラムが載ったのは国内外で東京五輪開催の賛否を巡る論争がヒートアップしていた時期。趣旨はIOCの過度なもうけ主義や腐敗を指摘する一方、新型コロナ対策に追われていた日本に開催地返上を促すもので、バッハ氏を中心とするIOC幹部を地方行脚で搾取し尽くす王侯貴族にたとえて痛烈に批判。
Baronは男爵、Vonはドイツ語系の名字に付くと高貴な出自という印象を与え、Ripper‐offは「奪い取ってしまう人」という意味なので、どう訳そうかと逡巡した記者さん。
「追いはぎ男爵」「搾取男爵」「たかり男爵」とかいろいろ浮かんだ中で、選んだのが「ぼったくり男爵」だったという。
おそらく締め切りに追われて考える時間はあまりなかったと思うが、なかなか気の利いた、というより、そのものズバリ、IOCの今の姿をひとことでいいあらわす名訳語だった。
人間、切羽詰まるといい案が浮かぶのか?
ついでに、逆に日本語が香港の言葉になるとどうなるか。
きのう(12月12日)香港で行われた競馬の「香港国際競争」で、日本馬のラブズオンリーユー(5歳牝馬、川田騎手)が2000mで優勝したが、ラブズオンリーユー(日本語というより外来語だが)の馬名は香港では「唯獨愛你」というらしい。
ディープインパクトは「大震撼」。
キズナは「高情厚意」。
日本語だときずなは「絆」となるが、中国語では少し違ったニュアンスもあり、「心の繋がり」というより「逃れられない束縛」という意味合いもあるため、「強い信頼関係」という意味で「高情厚意」となったのだとか。
ユーキャンスマイルは「笑一笑」。
日本でも通用しそうな楽しくなる名前だが、日本国内の競走馬は2~9文字のカタカナ表記と決まっているので、漢字は使えない。
必ずしも外来語でなくてもよくて、過去には「ビックリシタナモー」とか「イヤダイヤダ」「オレハマッテルゼ」などという名前の馬もいた。
地方競馬ではオリンピックのカーリング女子代表にあやかって「ソダネー」という馬もいて、母は「カアチャンコワイ」。母の父は「クロフネ」で、中央競馬でG1を2勝した名馬だった。