善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

半年ぶりの歌舞伎座 棒しばり

3月から休場していた歌舞伎座が8月1日、ようやく再開した。

再開前に観たのは2月の十三代目片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言で、当代の仁左衛門が菅丞相を演じる「菅原伝授手習鑑」から「加茂堤」「筆法伝授」「道明寺」だった。

それから半年ぶりの歌舞伎座。12日に観に行ったが、客席数は通常の半分というので、かつての賑わいはなかったものの、むしろ落ち着いた雰囲気。f:id:macchi105:20200813114353j:plain

場内に入るため玄関でまず手の消毒をして、検温。ロビーでは無料の筋書きを配っていて、有料のはなし。売店も全部閉まっている。

座席は1人おきで、おかげで見やすくはなったが、営業的にはどうなんだろう。

しかも初めての昼夜四部制で、幕間休憩はなくそれぞれの演目が終わるごとに客を入れ替えて消毒。役者も長唄、三味線、鳴り物も演目ごとに総入れ替えという念の入れよう。

 

今回観たのは第2部の「棒しばり」。f:id:macchi105:20200813114423j:plain

出演は中村勘九郎坂東巳之助中村扇雀

かつて名コンビといわれたそれぞれの父、十八代目勘三郎と十代目三津五郎の「棒しばり」を観たことがあったため、ぜひとも息子たちの演技を見たいとこの演目を選んだ。

 

扇雀が演じるのは大名の曽根松兵衛。山ひとつ越えたところに用事で出かけるが、留守中に酒蔵の酒を盗み飲むのではないかと案じて、勘九郎の次郎冠者を棒に縛りつけ、巳之助の太郎冠者を後ろ手にして縛り上げて安心して出かけていく。

ところが、2人は縛られたまま酒蔵に忍び込み、酒を飲み始め、酔っぱらって軽快な節にあわせて踊り転げる、というストーリー。

 

大向こうからの「中村屋」「大和屋」のかけ声もなく、ちょっと寂しい舞台かと思ったらそんなことはなく、再開を待ちわびた客席からの拍手は以前以上に熱気に満ちていた気がした。