フランス・ボルドーの赤ワイン「シャトー・ロワイヤソン(CH.LOYASSON)2016」
写真はこのあとメイン料理が登場。
ボルドー市内からガロンヌ川を南東へ約50kmほど遡るソーヴテーレ地区で、1932年から3代にわたってバララン家が経営するプティ・シャトー。
フランスのワインコンクールで金メダルを獲得した「GOLD MEDAL WINE」だとか。
メルロ65%、カベルネ・ソーヴィニヨン35%。
ついでにその数日前に飲んだのは南アフリカの赤ワイン「レオパーズ・リープ(LEOPARD'S LEAP)ピノタージュ・シラーズ(PINOTAGE SHIRAZ )2016」
ワイナリーのレオパーズ・リープは南アフリカ有数の銘醸地として知られる「フランシュホーク」を拠点としてワイン造りを行っている。
ピノタージュは1925年に南アフリカで誕生した黒ブドウの一種で、ピノ・ノワールとサンソー(エルミタージュ)を交配してできたブドウ品種。
ワインの友で観たのはNHKBSで放送していたアメリカ映画「荒野のストレンジャー」。
1972年の作品。原題「HIGH PLAINS DRIFTER」
監督と主演クリント・イーストウッド。ほかにヴァーナ・ブルーム、マリアンナ・ヒル、ビリー・カーティスなど。
大きな湖のほとりにある西部の町ラーゴに謎のガンマン(クリント・イーストウッド)がこつ然と現れる。男はからんできた男たちを一瞬でやっつけ、町に居すわるが、ホテルの女主人サラ(ヴァーナ・ブルーム)はどこかで見たような気がしてならない。
やがて、かつて町で暴れた無法者たちが刑期を終え、戻ってくるとの知らせが入り、男は用心棒として雇われる。しかし、その奇妙な行動に町の人々は不安を募らせる。一体、男の正体は…。
クリント・イーストウッドの監督第2作、西部劇としては第1作。思い入れの強い作品のはずだが、原題の「HIGH PLAINS DRIFTER」は直訳すれば「高原の流れ者」とでもなるか。
「8時だよ全員集合の」ドリフターズがまさに「DRIFTERS」に由来している。
ともかく不思議な映画だった。
突然やってきたかにみえた流れ者だったが、時間がたつうちにこの町と因縁があるのが分かってくる。
ホテルのベッドの上で繰り返し男が見る夢、というか幻想は、かつてこの町の保安官だったジム・ダンカンという男が3人の悪者どもにムチで執拗に叩かれてついには殺されてしまうシーンだった。しかし、自分たちの町の保安官がリンチを受けているというのに住民は関わり合いになりたくないと見てみぬフリをしている。
流れ者が見る夢の中で、殺された保安官ジム・ダンカンの顔はどう見ても流れ者そっくりなのだ。
ジム・ダンカンの役はバディ・ヴァン・ホーンというイーストウッドのスタントをつとめていた人がやっていて、1929年生まれというから年格好も同じで、イーストウッドそっくり(のちにイーストウッド作品の監督もやっている)。
無法者に怖じ気づいた町の人からは冷たい目で見られ、孤軍奮闘する保安官といえば、ゲーリー・クーパー主演の「真昼の決闘」がある。
「荒野のストレンジャー」は明らかに「真昼の決闘」のオマージュだろう。
とすると、流れ者の正体は何者なのか?
考えられるのはリンチで殺された保安官ジム・ダンカンの兄か弟(それも双子とか)であり、復讐のためにやってきたと考えるのが妥当なところだが、映画では流れ者の素性は明かされず、まるでジム・ダンカンの亡霊が現れ、復讐を果たして去っていく感じで映画は終わる。
唯一、流れ者の味方をする町の男との名前を巡る問答がおもしろかった。
映画の始めのころ、男が流れ者に聞く。
「あんたの名前、何だったかな?」
「まだ言ってない」
そしてラストシーンでは、町を見下ろす丘の上の墓地で、男が聞く。
「あんたの名前を聞いてなかったね」
「もう知ってるはずさ」
すると墓石がクローズアップされ、それまで名なしだった殺された保安官の墓石には「ジム・ダンカンここに眠る」の文字が刻まれていた。