善福寺公園めぐり

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村上海賊の娘

和田竜『村上海賊の娘』(新潮社)を読む。
つい最近、「本屋大賞」を受賞した話題の本だ。

戦国時代、顕如率いる一向宗浄土真宗)の門徒集団と織田信長は10年に及ぶ戦いを繰り返していて、1576年(天正4年)の第一次木津川口の戦いにおける村上水軍の当主、村上武吉の娘で当年20歳の景(きょう)の活躍を描いた物語。

分厚い上下巻の長編。女性が主人公の破天荒の物語というと、池上永一の『テンペスト』を思い出すが、残念ながら『テンペスト』にはかなわないもののそれなりに面白く読めた。

何がよかったかというと、史実をかなり忠実に追っているところ。登場人物はすべて(門徒の農民は別だろうが)実在の人物であり、村上水軍の娘・景も本当にいたらしい。
だからこそフィクションは面白くなる。
特に延々と続く戦いのシーンは、まるで講談を聞くごとくで、手に汗を握る。

それにしても戦国時代、大名支配に対して、門徒集団が自前の軍隊をつくって抵抗し、自分たちのお城までつくっていたのは驚かされる。
本書は村上水軍の話が主になっているが、ワタシ的にはそっちのほうが気になった。