善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

立川流落語会

きのうは国立演芸場で「立川流落語会」。昼間だというのに満員で立ち見が出るほど。
お客さんは意外と中年女性が多い。昼間だからか。

演目は、
前座の志の彦「つる」
志の春「元犬」
錦魚「猫の皿」
談慶「唖の釣り」
談之助「懐かしのスーパーヒーロー」
志の輔ハナコ
(中入り)
談春宮戸川
文字助「とんち相撲」
小菊「俗曲」
里う馬「五貫裁き
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本日の聴きどころは志の輔談春
志の輔は最近、古典に凝っているというが、やっぱり新作落語がいい。「親の顔」「踊るファックス」などは今思い出しても笑ってしまう。きのうの「ハナコ」にも大笑い。

談春は、こちらは古典で「宮戸川」の前半部分だが、かなり現代風。江戸時代をそっくり写したのでは今どき流行らないのか。

話は、将棋で帰りが遅くなって締め出しを食った小網町の半七、霊岸島の叔父さんのところに泊めてもらおうと思っていると、お花もカルタで遅くなり同じように閉め出されてしまった。
お花は一緒に泊めてもらえないかと頼むが、早合点の叔父さんだから嫌だと断る。
駆け出していく半七をお花が追っかけ、お花に抜かれてしまうところは前に小朝がやっていた。

実はこの話は叔父さん夫婦のやりとりが聞きどころ。志ん生が得意としていた。
「小網町の半七が来た」と亭主に起こされ、寝ぼけた叔母さんが「小網町で半鐘が鳴ってる」と談春はやってたが、志ん生は「小網町で半鐘すってる」とやってた。
「鳴る」と「する」とでは大違いで、半鐘を続けざまに激しく打つことを「擦り半鐘」といって、火事が近いことを知らせる緊急事態。それで叔母さんは腰巻きに位牌をまいて逃げようとしたわけで、志ん生はちゃんと時代考証をしてやっていた。

お花半七を2階に上げて、夫婦で昔を懐かしむところも、談春はやけに叔母さんが夢で三途の川を渡ろうとしたところを克明にやっていたが、志ん生は富本のおさらいの会での若かったころの2人を回想していて、これも江戸の情緒を巧みに表現していた。

今どき「富本」ったってだれも知らないんだろうな。
(ちなみに富本というのは浄瑠璃から分かれた流派の1つで、新内・常磐津・清元と並んで江戸浄瑠璃4派の1つだった)