善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

世界報道写真展2010

月曜日朝の善福寺公園。曇っているが汗がじっとり。
けさはカワセミは見なかったが、きのうのカワセミの写真。シルエットがかわいい。

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きのうは東京都写真美術館で開催されている「世界報道写真展2010」へ(8日まで)。昨年1年間に撮影された報道写真を対象に世界報道写真財団(1955年オランダで設立)がコンテストを実施し、入賞作品が展示されている。

コンテストはプロの写真家であれば誰でも応募することができ、今年は128カ国から5,847人が応募し、作品数は10万点を突破。オランダ・アムステルダムで特別賞も含め約170点の作品が選ばれたが、入選者の国籍は23カ国にわたり、「世界最大級のコンテスト」という。

世界的な報道写真の賞といえばピューリッツア賞が有名だが、アメリカ国内で発表された写真のみが対象で、世界報道写真財団のほうは全世界の媒体で発表された報道写真に応募の権利があり、今や世界中の報道カメラマンの目標として注目が高まっているのだとか。

今年の大賞を受賞したのは、イタリア人のピエトロ・マストゥルツォが撮影した「テヘランの建物の屋上からイランの現体制への抗議の言葉を叫ぶ女性」。イラン大統領選挙に対して大きな抗議デモも報道されたが、この写真は静寂が戻った夜、住宅の屋上から「独裁者に死を」「アラー・アクバル」と叫ぶ女性の姿が映し出されている。

大賞受賞を知ったとき、当初1枚の写真かと思ったら、何枚かの写真の連作だった。1人の女性が屋上から自分の思いを叫んでいるのではなく、あちこちの家から同じような叫びが連鎖的に繰り返されていたようだ。治安当局の弾圧が厳しくてデモや集会の実施が困難となっているため、人々は夜の静寂の中で、「叫び」という武器で実力行使をしていたのだろう。文字で読むニュース以上に、写真にうつる姿は生々しい。

今回展示された63点の写真を見て感じたのは、「紛争」や「飢え」を取材した写真が多く、撮影地も中東やアフリカが目立ったことだ。災害や事故もたくさんあったはずだが、ほとんどない。アメリカ・ヨーロッパの写真家ばかりで、日本人は皆無。中国人が2人いた。

日本でも政権交代とかニュースはいろいろあったはずだが、世界を驚かすような写真は少なかったのか。
ただ、日本を撮影した作品はあった。東京の地下鉄で窓に顔を押しつけて浮かぬ顔をしている女性の写真だ。撮影したのはドイツのカメラマン。日本人からすれば、「いまどき満員電車の写真なんて」と思ってしまうが、世界の人々には新鮮に感じるのだろうか?

去年はポートレートにいいのが多かったが、今年は「ハワイ・アイアンマン世界選手権」、「アッシズ・テストマッチ第5戦の一コマ(ロンドン)」、「ワールド・マスターズ・ゲームズで飛び込みに出場した80歳の選手の飛び込み風景(シドニー)」などスポーツ写真に印象的なものがあった。

勉強になったものもあった。
自然部門で1位になった「第3のまぶたを閉じて、魚を捕食するカワセミ」。ハンガリーのカメラマンの作品で撮影場所もハンガリー。何でも、ほかの水鳥と同様に、カワセミには「瞬膜」と呼ばれる第3のまぶたがあるんだそうで、目に傷がつかないように防護するこの瞬膜のおかげで、カワセミは水中の獲物を「見る」ことができるという。へー、知らなかった。

もう1つは「サプールと呼ばれる『おしゃれで優雅な紳士協会』のメンバーたち」。イタリアのカメラマンがコンゴ共和国で撮ったもの。
「サプール」とは、食うにも困る生活の中、超高級ブランドを独自のセンスで全身コーディネートし、ユニークなキメポーズをする人たちのことだとか。

世界は広い。

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帰りに見た「ヘンな木」
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