善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

8月の藤

早朝の善福寺公園。晴れ、風あり。
上池の弁天島あたりにカワセミが1羽。
2度、3度、エサとりのダイブを繰り返していた。

あれ? 8月だというのに藤棚に藤の花が咲いている。
あとで調べたら、藤は夏になると枝先からまた少し花が咲くことがあるという。
藤には「二季草(ふたきぐさ)」という別名もあるとか。
それは藤が春から初夏にかけて咲くからといわれるが、5月のころと8月の暑い夏にも咲くからなのかもしれない。

「返り咲き」「忘れ咲き」「土用藤」という言葉もあるが、夏に咲く「夏藤」という種類もある。

大伴家持の次の歌。

我がやどの時じき藤のめづらしく今も見てしか妹が笑まひを

(私の庭に咲いた季節はずれの藤のように、めずらしくも今、見たいですね、あなたの笑顔を)

「時じ」あるいは「時じき」とは「時はずれ」「時季はずれ」の意。転じて「時節に関係なくいつもある」という意味にもなる。なるほど、「非日常」も、見慣れてしまえば「日常」になってしまうが如くか。

同じ大伴家持の歌に、

橘は花にも実にも見つれどもいや時じくになほし見が欲し
(橘は花を見るのも実を見るのもいいけれど、いつもいつも見ていたいものですね)


下池には夏の花、サルスベリも咲いている。
漢字で書くと「百日紅
「100日もの間、紅色の花を咲かせる」のが名前の由来というが、実際には、一度咲いた枝先から再度芽が出てきて花をつけるため、咲き続けているように見えるのだとか。

炎天の地上花あり百日紅 高浜虚子

中国の「陰陽五行」によれば四季は色であらわされる。春は青、夏は赤、秋は白、冬は黒。春の青と夏の赤が混じるとその色は紫になるというが、藤の紫、そしてサルスベリの紅色もどこか紫っぽい。

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