善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きょうのゲゲゲの女房

きょうの「ゲゲゲの女房」(95)はなかなか見どころがあった。

茂(向井理)は「週刊少年ランド」の別冊に月1ペースで「墓場の鬼太郎」を描き始める。しかし、読者の反応は悪く、3回連続して人気投票は最下位。
編集部の内情に詳しいらしい悪友の浦木(杉浦太陽)は「路線を変えろ」と迫るが、たまたま居合わせた月刊「ゼタ」の加納(桜田聖子)はいう。
「水木先生の作品は独創的だから読者が馴染むのに時間がかかるんですわ。作家にとって個性こそは生命線です」

一方の編集部。部員たちから打ち切りの声が上がるが、「鬼太郎」にほれ込んでいる新任の若き編集長、豊川(眞島秀和)は譲らない。
豊川のセリフがいい。
「安全パイだけでは、ここから先にはいかないぞ」
「(対抗している)少年アワーの60万部というとてつもない数字に挑むんだ。今までと同じことをやっているようじゃだめだ。少年誌はこうだという、つまらん常識は捨てろ。常識を打ち破ってこそ他誌に勝つことができるんだ!」
編集長カッコイイ!

茂も、「鬼太郎の闇の力は、きっと子どもたちを引きつけます」という戌井(梶原善)の言葉を思い出す。
鬼太郎は実は紙芝居の時代から生き残った作品であった。貸本の世界でも鬼太郎は死ななかった。
「鬼太郎には生命力のようなものを感じますね~」という戌井の言葉通り、編集長の豊川は、賭けに出る。

「鬼太郎の連載を週刊少年ランドの本誌で始めましょう!」

そして、以前別冊に描いた「テレビくん」に漫画賞受賞の知らせ。
一躍脚光を浴び、収入も安定してきた茂は、なじみの質屋のノレンをくぐる。
ニッコリ微笑んだオヤジ(徳井優)。
「待ってましたよ~。夏に買った中古テレビを質入れに来たんでしょう」
すると茂は、ためにためた質札をすべて広げて、「ぜ~んぶ、請け出します!」

史実では、少年ランドのモデルとなった少年マガジンに貸本出身の水木しげるが起用されるようになったのは、マガジン初登場となった手塚治虫が「W3」という作品をめぐって編集部と不仲になり(世にいうW3事件)、「手塚への反発心があったから」と当の編集長が述べているらしいが、そんなこととは関係なく、きょうのドラマは楽しめた。

それにしても終始、不安げな加納の表情が気になる。