戌井は貸本時代の漫画家仲間であり、その後、貸本漫画の出版社を興し、儲からなくても「漫画バカ」を自称して出版を続けるが、結局、経営難で漫画から撤退。今は軽印刷でなんとかしのいでいるという。
女房の早苗のセリフがいいねぇ。
ピーナツをツマミに、しけた顔でウイスキーを飲んでいる亭主(戌井)に、早苗はいう。
「やったらいいじゃない、漫画の仕事」
戌井が出てきたはじめのころ、漫画の仕事で赤字続きで、内職しながら何とか食いつなぐ生活に、「漫画なんか」と思っていた早苗だったが、いつしかそんな漫画に情熱を注ぐ夫や茂の姿に打たれ、理解者になっていた。
ピーナツをツマミに、しけた顔でウイスキーを飲んでいる亭主(戌井)に、早苗はいう。
「やったらいいじゃない、漫画の仕事」
戌井が出てきたはじめのころ、漫画の仕事で赤字続きで、内職しながら何とか食いつなぐ生活に、「漫画なんか」と思っていた早苗だったが、いつしかそんな漫画に情熱を注ぐ夫や茂の姿に打たれ、理解者になっていた。
そんな女房に支えられ、ふたたび漫画の出版をはじめようとする戌井は、昔の茂の漫画には「何ともいえない熱いものを感じます」というが、「最近の水木さんの漫画、何か物足りないと思っていました」という。
「何かが足りない。何が足りないのか。それはわかりません。でも、これだけはいえます。ホンモノは消えない」
さらに戌井はいう。
「今のスランプを苦しんでください。そのうちきっと、突破口がひらけます」
「今のスランプを苦しんでください。そのうちきっと、突破口がひらけます」
苦悶する茂。
「オレは、何を見失っているんだ」
「オレは、何を見失っているんだ」
苦悶の先に未来がある。