善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

消費税増税はオカシイ

きのうのアルゼンチン-韓国戦。
メッシの個人技にしびれました。
今大会は「メッシの大会」になるかもしれませんね。

それはそれとして、けさの新聞を読むと、
今度の参院選挙で民主党自民党議席が増えると、消費税増税が現実になりそうですね。
管首相は「消費税10%」を検討するといっているし、自民党参院選公約はズバリ「消費税は当面10%とし、全額を社会保障費に充当する」とうたっています。

しかし、社会保障費が足りないといいいながら、そもそも日本の場合、社会保険料の事業主負担が著しく低いという問題があります。これをそのままにして消費税で社会保障をまかなおうというのは、結局は大企業を優遇して、庶民から金を絞りとろうということになってしまいます。

企業に金を出せといえば猛烈な反対にあい、「国際競争力が弱まって日本経済は危うい。それでもいいのか」と恫喝されるのがオチ。一方、庶民は何もいわない。
結局、とりやすいところからとるのが日本の政治のやり方なのでしょうか。


「金持ち優遇」という視点からの経済アナリスト・森永卓郎氏の主張は、お名前の通り卓見だと思います。以下は日経BP社のメルマガ「SAFETY JAPAN」(09年6月30日付)よりの引用です。

「消費税を社会保障財源にあてるという議論には、大きなインチキが2つあるとわたしは考えている」

「1つ目のインチキは、消費税という逆進的な税制によって社会保障をまかなおうと考えている点である(逆進的というのは、低所得者ほど税負担が重くなり、所得が高くなるにつれて負担率が軽くなる性質を指している)」

「消費税率は誰に対しても等しく5%、と思うかもしれないが、消費に対する税率は同じでも、年収に対する税負担の比率を考えると数字が違ってくる。財務省の試算によると、年収146万円の人は消費税負担が収入の3.7%を占めるのに対して、年収2135万円の人は1.4%に過ぎない。倍以上の税負担率である」

「なぜ、こうなるかというと、低所得層と高所得層とでは、収入に対する消費の割合が大きく異なるから。低所得層も、最低限の生活必需品は購入せざるをえない。そして、生活必需品の額は、庶民も金持ちもそれほど大きく変わらない。すると、低所得層は年収の多くの部分を消費にあてざるを得なくなり、年収に対する消費税の割合が高くなる。ところが高所得層は、収入の大半を消費にまわすということはない。大部分を貯蓄に回してしまうから、税負担が小さくなるのである」

「これまで、社会保障の財源となる社会保険料は、雇用保険にせよ、厚生年金にせよ、健康保険にせよ、収入(所得)に応じて課せられてきた。ところが、それではまかない切れなくなったから、消費税にしようというのが現在の動きである」

「だが、根本の思想として、これまでと連続性を持たせるならば、今後も収入に比例して徴収しないとおかしい。さもなくば、これからは思想自体を変えるということを広く伝えて、国民的な議論にすべきではないか」

社会保障の財源を消費税に頼るというのは、どういうことを意味するのか。それは、前述のように金持ちの負担率が庶民の半分以下で済むということである。さらにいえば、金持ちがこれからの高齢化社会のコストを、庶民の半分以下しか担わないということになる」

「しかし、これは本来の社会保障の思想とは相反するものだ。そもそも社会保障には、「そのままでは格差が拡大して社会不安を起こすといけないので、所得を再分配する」という側面がある。だから、社会保障の財源は累進課税によるのが当然である。それなのに、むしろ逆進して課税するというのはおかしな話ではないか。これが1つ目の大きなインチキではないのか」

「2つ目のインチキは、厚生年金、雇用保険、健康保険が、これまで労使折半で支払われてきたという事実と関連している。こうした社会保険の支払いを消費税に移行すると、いったい何が起きるのか」

「それは自明である。消費税にすれば使用者側の負担はゼロになるのだ。労使折半だった支払いを、今後は100%労働者側が負担しようというわけである」

「以上、2つのインチキをまとめると、消費税を社会保障の財源に充てるという考え方は、金持ちと企業の負担を軽くすることにほかならないのである」

「これはいくらなんでもひどいのではないか。現在の消費税議論はこうした論点を隠しているから、国民はごまかされてしまう。お人好しの国民は、「財源が足りないから消費税を上げるのもしかたない」「日本の将来はみんなで負担しなくてはならない」と思わされてしまっているのだ」

「世の中では、税率を上げる、上げないという点ばかりが先行しているが、こうした「消費税とはそもそも何なのか」という議論が一切なされていないのは不満だ。これまで収入(所得)に対して課税されていたのが、消費に課税されるとはどういうことなのか。企業や金持ちの負担が軽くなることに対してどう考えるのか、という点について、もっときちんと議論するべきである」