1962年の作品で、原題は「LeSoupirant」。
ため息という意味らしい。

フランスのピエール・エテックス監督の長編第一作。
1963年に「女はコワイです」の邦題で日本でも公開されたという。
エテックスは1928年生まれの監督で俳優。70年代以降は劇映画の監督からは遠ざかるが、俳優としてさまざまな巨匠たちの作品に出演。国立のサーカス学校を設立したりもしている。最近になって日本をはじめ世界中で特集が組まれるなど再評価が進んだが、2016年に惜しまれつつこの世を去っている。
今回の映画はモノクロで、どことなくサイレント映画タッチ。
ピエール・エテックスの映画って初めて見たが、なかなかの傑作だった。
フレンチコメディといおうか、大笑いしてしまうようなシーン続出で(ただし、何しろ銀座のど真ん中のミニシアターで、見ている人は上品な感じのご婦人ばかり。なので何とか大笑いしたいのを抑える)、チャプリンやバスター・キートンなんかを連想しながら見てしまった。つまりチャプリンと比較したくなる、それぐらいおもしろかった。
物語は──。
フランスの金持ちの息子で、天文学の研究に没頭する青年ピエール(ピエール・エテックス)。両親に結婚を勧められたことをきっかけに、運命の相手を求めて街へ出るものの空振りばかり。意気消沈しているところに、酔って上機嫌なローランスと知り合うが、やがて彼女は酩酊し、苦労して自宅まで送り届けるはめに。
失敗続きのピエールだったが、偶然テレビで目にしたシャンソン歌手のステラに一目惚れしてしまう。
ステラ、まさに「星」という名前。のぼせ上がった彼は、部屋じゅうを彼女の写真やポスターで埋め尽くし、いざプロポーズせんとステラの楽屋に潜り込むが・・・。
けだるい感じでシャンソンを歌うステラ。ピエールじゃなくても悩殺されそう。
ピエールの演技が秀逸。妻にこっそり酒好きタバコ好きの父親も傑作。
そちらも見たくなった。