ギヨーム・シュッソ「ブルックリンの少女」(吉田恒雄訳、集英社文庫)。
人気小説家のラファエルは、婚約者のアンナと南フランスで休暇を楽しんでいた。なぜか過去をひた隠しにするアンナに彼が詰め寄ると、観念した彼女が差し出したのは衝撃的な光景の写真。そして直後にアンナは失踪。友人の元警部、マルクとともにラファエルが調査を進めると、かつて起きた不審な事件や事故が浮上する。彼女の秘められた半生とはいったい…。フランスで大ベストセラーとなったというミステリー。
作者のギヨーム・シュッソは1974年フランスのアンティーブ生まれ。現在フランスでもっとも人気のある小説家の1人だとか。
小説の最後の4ページの「ルイーズ」と題する章が感動的だった。
作者はこの4ページを書くためにそれまでの466ページを書いたのではないか、と思わせるほどだった。
作者はこの4ページを書くためにそれまでの466ページを書いたのではないか、と思わせるほどだった。
各章の冒頭に出てくる過去の作家たち(現役もいるが)の短い言葉(エピグラフというそうだが)にいいものがあった。
仮面があまりに魅惑的なので、ぼくは自分の顔が恐ろしくなった。 アルフレッド・ド・ミュッセ
真実は太陽のようである。すべてを見せるが決して見られることがない。 ヴィクトル・ユゴー
水を恐れるものよ、岸辺を離れるな。 ピエール・ド・マルブフ
まえよりも愛して、わたしは苦しんでいるのですから。 ジョルジュ・サンド
人は幽霊しか愛さない。 ポール・ヴァレリー
人はだれも三つの人生を持っている。ひとつは公的、もうひとつは私的。そして三番目は秘密だ。 ガブリエル・ガルシア=マルケス
冷血動物だけが毒を持つ。 アルトゥール・ショーペンハウアー