善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

悪の華 絵本合法衢

歌舞伎座四月大歌舞伎・夜の部「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)」を観る。
入口の絵看板。
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四世鶴屋南北作。文化7年(1810年)5月5日江戸市村座初演。
片岡仁左衛門が権力者の悪人と市井の悪人の2役を演じる悪の魅力?満載の芝居。
2011年3月に国立劇場で観るはずだったのが東日本大震災で中止となり、翌年4月の再演で観る。
今回、仁左衛門が一世一代で勤める、つまり今回で最後、というのでなるたけ前の席(前から3列目の真ん中あたり)で観る。

出演は、片岡仁左衛門(左枝大学之助、太平次)、中村時蔵(うんざりお松、皐月)、坂東彌十郎(高橋瀬左衛門、高橋弥十郎)、片岡孝太郎(お亀)、中村錦之助(田代屋与兵衛)、市川團蔵(佐五右衛門)、市村萬次郎(田代屋後家おりよ)、上村吉弥(お道)ほか。

幕が上がるとともにいきなり殺人の場面から始まる。
そのあとも殺しの連続。人間だけじゃなく、ヘビも殺し、ツバメのヒナも殺していた。

大阪、京都を舞台にしたお家乗っ取りとあだ討ちの物語だが、お家乗っ取りをねらうご大家の大学之助と市井の小悪党・太平次という異なる悪人2役を演じる仁左衛門の悪党ぶりが圧巻。
子どもまでも手にかける凄惨で残酷な殺人の場面で大向こうから「松嶋屋」の声がかかり、満場の拍手に包まれる。これぞ歌舞伎の醍醐味だろう。

前回見たときより話がテンポよく進み、まるで流れるごとし。
一度観ているだけに複雑な人間関係が頭に入っているからかもしれないが、それだけに間に入る仁左衛門の見得のカッコよさがよけいに鮮烈。

見納めというけど、仁左衛門の動きはスピード感があってまだ何回もできそうだ。
それだけに、体が動く今のうちに封印したかったのかもしれない。
のちのちの語り草となる名演を見たシアワセ。

話のスジも舞台のセットも前回、国立劇場で見たのとほぼ同じ。歌舞伎座国立劇場でセットを使い回ししているらしい。
見世物小屋の看板も前回と同じで「ろくろっ首」「蛇をんな」「大いたち」とあった。
「大いたち」(実際は、大きな板に血がベットリで大いたち、の地口落ちなんだが)は江戸時代からの正統派見世物というわけなのだ。

芝居がハネたのが意外と早く8時半ごろだったので、歌舞伎座近くの居酒屋「魚真」でイッパイ。
生ビールのあと日本酒を注文。
つまみは、まずは菜の花のお浸し。
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刺身7種の盛り合わせを頼んだらサービスで9種にしてくれた。
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シラウオの青のり揚げ。
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毛ガニ半身。
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味はいいんだけど、座った席のまわりの若い客がキャーキャーギャーギャーうるさいし、たばこの煙はにおうし、若いアルバイト店員は気がきかないし、もうサイ悪。

悪人を見たあとだけに、オチがつきました。