善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

天使の入江

銀座のエルメスビル10階にあるミニシアター「ル・ステュディオ」でフランス映画「天使の入江」を観る。1963年の作品だから今から50年以上前の映画。
座席数40席ぐらいしかないミニミニシアター。銀座のど真ん中のプライベート空間で昼下がり、映画の歴史の中から発掘?されたような古い映画を見るのも一興といえよう。

同シアターでは年間のテーマを決めてテーマにあった映画を月イチで上映していて、2018年のテーマは「演じる。遊ぶ。プレイフルな人生!」。
「天使の入江」はジャック・ドゥミ監督の長編2作目。ギャンブルに溺れる男女を描いたモノクロ映画。ドゥミ監督はこの作品の翌年に長編3作目の「シェルブールの雨傘」をつくっている。

撮影ジャン・ラビエ、音楽ミシェル・ルグラン、出演ジャンヌ・モロー、クロード・マンほか。

冒頭のシーンが鮮烈だった。
朝があけて間もないニースの海岸を歩くジャンヌ・モローの姿をとらえたカメラが、猛スピードで後退移動していき、いつしか彼女の姿が消え去り、それでも映像は続いていく。

ギャンブラーはそうやって現実から取り残されていくことを暗示しているのか。
しかし、ジャンヌ・モローギャンブル依存症に陥って歓喜どん底を繰り返すことに生きがいさえ感じる日々を送る女を演じているのだが、そんな哀れさよりも、男を惑わす艶かしい雰囲気がよく出ていて、名演技だった。